個人住民税の特別徴収

 給与所得者の方が個人住民税を納める方法は二通り、普通徴収と特別徴収があります。普通徴収は市町村から納税者個人に送られてきた納付書を利用し、金融機関や郵便局などで納める方法。特別徴収は事業主が給料から天引きして、本人に代わって納める方法です。本当は一部の例外を除いて特別徴収が義務付けられているのですが、実際には市町村が普通徴収を黙認してきたような状況で、給与所得者のうち特別徴収の人は71.9%にとどまっているそうです。

 では、徴収率に関し特別徴収と普通徴収でどのような違いがあるかと言うと、特別徴収がほぼ100%、普通徴収は95%前後とのことです。そこで、徴収を確実にするため市町村では各事業所に対し特別徴収への移行を徹底する動きが目立ってきています。ここ愛媛県でも数年前から特別徴収を行っていない事業主に対し入札参加に一定の制限を課すなどの対応をとっています。

 給与所得者の方にお話を伺うと、特別徴収を望む声が多いように思います。自分で納税する手間が省けますし、普通徴収は年数回の納付なので一回に納める税額が高くなりますが、特別徴収は毎月なので一回の徴収額が少なくなるのがその理由です。特別徴収を望まない事業主の言い分は、毎月徴収して納付するのが面倒、従業員に異動があった場合の手続きが面倒、というようなことですが、特別徴収が原則ですので是非移行をお願いしたいと思います。

 たまに「特別徴収はマズい」と言う給与所得者にお目にかかります。会社に内緒で副業を持っているので、所得の内容を知られたくない方です。ただ、副業は自分が事業主となっている事業所得の場合、確定申告書に「事業所得の住民税は普通徴収で払う」ことを明記すれば特別徴収の対象とならず会社にはバレません。これが「よそでバイト」など、副業も給与所得である場合は原則として副業と本業を普通徴収と特別徴収に分けることは出来ないのですが、市町村によっては対応してくれるところもあると聞きます。決して禁止されている副業を勧めるわけではありませんが…