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法人が購入した車を社長の妻が個人的に使用していたケースについての裁決事例のご紹介です。
株式会社Aは自社の名義で車両を購入しました。そして車両の減価償却費をはじめ、車両に係る租税公課や、保険料など維持費もAの費用として計上していました。ところが、この車両を実際に使っていたのは、社長Bの妻Cです。また、納車場所や保管場所、ディーラーの連絡先はCの居所でした。ちなみにCはAの役員でも従業員でもなく、Aの業務には従事していません。
税務署は、CがAの業務に関わっていないことや、BがAの100%株主であることを考えると、各費用の損金性は認められない。また、車両購入費もBへの役員報酬であると主張しました。これは、Aの損金に計上できないと共にBには給与所得として課税されることを意味します。
一方、Aは各費用の損金性が認められないのはやむを得ないけれど、車両はA名義なのでAが所有したと言うべきであって、役員給与ではないと主張しました。
国税不服審判所の判断は、Bは車両の使用に付き通常支払うべき使用料の額に相当する経済的利益を享受しているので、それは役員給与に当たるとした。ただ、AからBに車両の贈与があった等、AからBに対して給与を支給したとまでは認められず、仮装隠蔽の証拠もないため、それまでをも役員給与とする必要はない。
※ 社長など会社の役員が会社のお金と個人のお金を混同して、本来は個人が負担すべき支払いを会社が支払っているケースを散見します。もちろんこれは「脱税」です。それを隠そうと帳簿の摘要欄に事実に反する記載をすれば「重加算税」が課されるとお考え下さい。