特定支出控除の適用者急増

 平成24年度税制改正により平成25年分から給与所得者の「特定支出控除」の扱いが変更になりました。改正により、平成22年は3名・平成23年は4名・平成24年は6名だったこの制度の適用者が、平成25年には約1,600人となっています。

 制度の概要は下記の通りです。適用を受けられそうな方は検討してみてはいかがでしょう?

 

【特定支出の控除の特例】

※制度の内容

1/1から12/31までの間に特定支出をした場合、その特定支出の合計額が次の(1)(2)の区分に応じそれぞれの金額を超える場合の給与所億の金額は、給与所得控除後の金額から、その超える部分の金額を控除した金額とすることが出来る。

(1)     その年中の給与等の収入額が1,500万円以下の場合

  ・給与所得控除額の1/2

(2)     その年中の給与等の収入額が1,500万円を超える場合

  ・125万円

※特定支出とは?

(1)通勤費 (2)転居費 (3)研修費 (4)資格取得費 (5)帰宅旅費 (6)勤務必要経費

*いずれも給与支給者の証明が必要

*改正により(4)に弁護士・公認会計士・税理士などの資格取得費用が加わった

※手続き

申告書に特定支出の控除の特例を適用するにあたり必要な記載をし、明細書・上記の証明書・領収書等を添付または提示する必要がある

 

【適用例】

制度の説明だけではピンときませんね。具体的な数字を使って説明しましょう。決して「特定支出をすること」のインセンティブになるような数字ではないことをご理解頂けることと思います。「特定支出の制度を利用できるから税理士の資格を取るぞ!」でなくて「税理士の資格取得の学費が少しだけ戻ってきてうれしいな!」程度です。

〔例〕

*給与収入 400万円 *社会保険料 50万円 *生命保険料控除 12万円

*配偶者控除 38万円

(1)上記の条件で特定支出の控除の特例がない場合

給与所得金額:2,660,000円、所得税額:65,300

(2)上記の条件で特例適用の対象となる特定支出の金額は670,000円以上。仮に800,000円の弁護士資格取得費用を支払った場合

給与所得金額:2,530,000円、所得税額:58,700