相続税の連帯納付義務

 「親が亡くなって5,000万円もらったらいくら税金がかかる?」というような質問を受けることがあります。実はこの情報では相続税を計算することはできません。

 

 相続税の計算は、大まかに言うと次の手順で計算します。

    亡くなった方の財産を全部合計する。
    ①を法定相続人が法定相続分に応じて分けたと仮定し、各人の相続税額を算出する。
    ②を合計して、相続人に課される相続税の合計額を求める。
    実際に相続人が取得した財産が①に占める割合を算出する。
    ③×④がその人の相続税額です。

 

 つまりその相続全体に関しての種々の情報がなければ相続税の計算はできないということになります。

 そして、相続税の特徴的な制度として、『連帯納付義務』があります。一つの相続に関し、相続人はお互いに連帯納付義務を負いますので、自分はきちんと納付を終えていても共同相続人が納付しなければ、その税額の納付義務まで発生するのです。

 自分の意思で連帯保証人になる場合と異なり、相続税に関しては自らの意思と無関係に連帯保証義務を負う可能性があること、他の相続人の納付状況を知らないのに突然に納付を求められるなどの不合理な点を理由として廃止すべきとの声が多く聞かれます。日本税理士会連合会でも、平成28年度税制貝瀬に関する建議書にその旨を謳っているようです。