キャノン酒巻流「すぐできるムダ取り」

 「見える化」とは「カイゼン」のトヨタ自動車の生産現場から生まれた言葉として知られています。会社のムダを皆が見えるようにすることで取り除き、経営効率を上げる仕掛けとして注目されています。  この「見える化」の手法は大企業に限って有効なものではなく、中小企業こそ効果がより顕著に表れるといいます。組織が小さい分社内を「見える化」しやすいのがその理由です。
 今回は、『日経ベンチャー 2007年8月号』(日経BP社)の、”「見える化」で利益がぐんぐん増える!すぐできる「ムダ取り」”より、キャノン電子社長 酒巻久氏「厳しさの中、立て直しに直面 ムダ取りでここまで会社を変えた」をご紹介します。


§社長就任時の1996年から、2006年12月期までのムダ取りでこれだけ変わった!

▽売上高 : 755億円 ⇒ 1015億円(1.3倍)
▽経常利益 : 11億円 ⇒ 143億円(13倍)
▽売上高経常利益率 : 1.5% ⇒ 14.1%(9倍以上に増加)
▽経営会議1回の時間 : 20時間 ⇒ 3時間(一方で発言回数は4倍に)
▽秩父本社の清掃費用 : 3360万円 ⇒ 0円(オフィスも植木も社員の手で)
▽秩父本社の文房具代 : 658万円 ⇒ 0円(机の中の不要文房具を活用)
▽埋立廃棄物の量 : 44トン ⇒ 0トン(オフィスからゴミ箱を撤廃)

§キャノン酒巻流を徹底解説 ~ 会社を今日から変える5つの方法

1.「立ち会議」で業績アップ!

 集中して臨むため、深い議論が短期間でできる
  • キャノン電子の会議は全て「立ち会議」。その狙いは、「緊張感を持って臨む分、業績アップにつながるしっかりした議論ができる。同時に会議にずっと集中するため、時間を大幅に短縮できる」

  • 立ち会議導入手順3ステップ
     (1)立ち会議の効果を伝える
     (2)会議室からイスを撤去
     (3)あいまいな話し方を禁止

2.社員はパソコンで遊んでいる!

 やりがいある仕事を与え、社員の「サボリ」を追放!
  • ひそかに調べたところ、パソコンを使っている社員のほとんどが、勤務時間中に遊んでいた。中には1時間しか仕事をしていない人も。人件費に置き換えると年間約3億8000万円の損失となる。

  • パソコンのムダ排除の手順3ステップ
    (1)パソコンで遊んでいる時間を測る(キャノンがソフト販売)
    (2)人件費で換算した損失額を出す
    (3)仕事の割り振りなどを見直し、損失を減らす

3.机上にはパソコンのみ!

 書類や資料をすべて棚に 皆に見えるからムダに気づく
  • 会社のムダとりにはすべてを見えやすくし、課題を見やすくすることが必要。そのためにはまず、整理整頓。机上にはパソコンだけを置き、余計なものは置かない。

  • 机上はパソコンだけの導入手順3ステップ
     (1)机上にパソコン以外を置かないルールを作る
     (2)不要な資料を見極め、思い切って捨てる
     (3)必要な資料は共通棚に入れる

4.文房具をゼロ円に!

 机の中に眠る文房具を回収すれば数年分の文房具代が不要に
  • 金額が小さい物品は、購入の際チェックを経ない。それだからこそたくさんの無駄が潜んでいることが多い。文房具はその代表。

  • 文房具のムダ排除の導入手順3ステップ
     (1)使わない文房具を全部集めて再利用
     (2)購入を社長決裁にする
     (3)回収は定期的に行う

5.ゴミ箱を撤去!

 オフィスのゴミの大半は私物 「持ち込んだら持ち帰る」ルールを徹底
  • オフィスのゴミは仕事で出たゴミはほとんどない。大半が弁当容器やペットボトル、新聞・雑誌の自宅から持ち込んだ私物のゴミ。家庭で処理すべきところオフィスに持ち込んだために事業ゴミとなる。

  • ゴミ箱撤去の導入手順3ステップ
     (1)ゴミ箱を一気に撤去
     (2)「持ち込んだゴミは持ち帰る」ルールに
     (3)掃除の外注をやめて、社員が行う