なぜ日本にはいい男がいないのか21の理由

 書店の新刊本コーナーで目を引かれたのが、『なぜ日本にはいい男がいないのか21の理由』(早稲田大学国際教養学部教授 森川友義著・㈱ディスカヴァー・トゥエンティワン発行)。裏表紙には、’女性がふたこと目には発する「いい男がいない」が真実としたら、なぜなのか?各種データを駆使して①時代②男③女 の各視点からその理由を解明し、さらには日本社会がかかえるさまざまな問題を映し出す貴重な資料’と解説されています。

 著者の本業は政治学者であり、主張するときは科学的根拠を提示する習慣があるので、本著も科学的統計調査法によるデータに基づき書かれているとのこと。今回は本著より、”いい男がいない理由”をご紹介します。この問題が解決されれば婚姻率&出産率が上がって少子化傾向が改善されるかも・・・。

 尚、『なぜ日本にはいい男がいないのか』であって『なぜ日本にはいい女がいないのか』でない理由は、世界的見地に立った需要の違いであり、日本女性に対する人気はとても高く、日本男性に対するそれはさっぱり・・・という現実をふまえてのことだそうです。


 <Ⅰ> 時代が悪い!

 理由その1 そもそも男が減っている

少子化で絶対数が減少しているので、当然いい男の絶対数も低下。「通勤・通学の交通機関で自分と同じ年齢、視覚的にどんぴしゃのいい男が乗っている確率」は、何と0.002%。100人乗っている電車に500回乗ってやっと1人の確率。

 理由その2 貧富の差の拡大と「下流社会」の出現によって
                   「恋愛格差社会」が創出されている

三高(高収入、高学歴、高身長)の中で特に注目度の高いのは’高収入’。これは、狩猟時代からかわらない。「いい学校→いい会社→生涯安定した収入」の方程式が崩れ、この条件の確保が難しくなった。加えて、フリーター・ニートの増加でその傾向は顕著になり、格差は広がった。その結果、一部のいい男に女が集中して寡占状態になり、そのまま恋愛格差社会が創出された。

 理由その3 出会いのパターンは急激に変化している

かつての出会い二大パターンは、お見合いと職場。1970年に30%以上あった見合い結婚は今では10%以下となり、しかもその平均年齢は男性34.3歳女性30.4歳で、最後の手段という模様。職場結婚は1960年40%以上だったのが現在30%程度。増加しているのは「友人や兄弟の紹介」で、現在1位。学校は同年齢の異性が大勢集まるので恰好の出会いの場だが、将来の仕事や収入が未定のため、リスクを負う先物取引となる。

 理由その4 美男美女は大都市に集中し、地方で激減

地方の優秀な学生は、東大や早稲田や慶應などに進学するので東京あるいはその他の大都市に優秀な大学生が集中し、そのまま就職。そして地方に若者、とりわけ美男美女が極端に少なくなる。

 理由その5 視覚的にいい男と出会う確率はたいへん低い

女性はいい男の識別に視覚的要素をあまり用いない。結果、いい男との認識までに時間がかかる。そのため、見栄えを気にする女性はいい男を見逃すことに。これを証明する実験として、路上で通行人を観察して「何人が自分のストライクゾーンに入るか?(つまり、一目惚れ)」を調査したところ、女性が男性を見てストライクゾーンに入ったのは0.7%で、男性が女性を見た場合は9.5%。女性が男性を視覚だけで好きになる確率は低く、好意を抱くまで時間がかかると言える。

 理由その6 いい男とつきあっても(結婚しても)、長く一緒にいると必ず飽きる

縄文時代は寿命が30歳未満だったので、夫婦生活もせいぜい15年程度。「長続きするか?」というような心配は無用だった。ところが現在、夫婦生活は平均48.5年にもなり、どんないい男でも飽きてしまう。恋愛感情は身体には悪いので、一定期間(2~4年)程度でさめるように出来ている。

 理由その7 義務教育のせいで、たくましい男が落ちこぼれている

男らしくたくましい男性はテストステロン(男性ホルモン)値が高い。だが、テストステロンの短所は「好戦的で反社会的」であり、義務教育になじめず、危ない方向に進む。なじめるのは「子どもの面倒見がよく、よく微笑んで、信頼がおける、協調的で従順な」テストステロン値の低い男性。その結果、周囲には「男性的魅力、迅速な決断、頼りがい」に劣る男性が多くなる。

<Ⅱ> 男が悪い

 理由その8 男の運動能力が減退している

男性の努力不足が原因で運動能力が下降傾向にある。13歳、16歳、19歳の持久力走の結果を比較したところ、1964年まで記録の良い順に19、16、13歳だったのが、その後16、19、13歳に、さらに1997年からは16、13、19歳に変動。その他、短距離走、投げる力、握力も軒並み低下傾向にあり、体力が長持ちしない、視覚的にもひ弱であるのは当然として、すぐ疲れる、すぐ病気になる、我慢強くない等の症状をもたらす。

 理由その9 いい男にはすでに恋人(妻)がいる

『30歳の男の人と名刺交換。なかなかいい男だと思い付き合おうと思った。この男性が結婚していなく、恋人もいない確率は?』様々なデータから導き出された答は、39.5%。同様に、20歳で64%・25歳で53%・30歳で40%・35歳で33%。但し、これはあくまで確率論であり、’いい男ほどよくもてる’という前提に立てば、この男性に妻か恋人がいる確率はもっと高くなる。

ちなみに、女性の’恋人以上の男性がいる’確率と、男性の’恋人以上の女性がいる’確率は、どの年齢層も前者が10%多い。つまり約10%の女性は次のいずれか。
① 恋人から二股かけられている
② 女性が思うほど男性は好きでない

 理由その10 男はくさい

1500人以上の男女に実施したアンケート調査では、女性にとって異性との交際で最も重要な要素は、「この人とキスできるか?」であり、歯を含めた口元が清潔であることが重要であるが、この基準を満たしている人は意外に少ない。臭い原因は、

にんにく好きが多い(日本人の年間にんにく消費量は450g、ちなみに韓国では10㎏)が、昼食後歯を磨く男性は1割未満。(女性は約3割)
日本男性の喫煙率は高く、20~40歳で50%を超える。
安い焼酎や醸造用アルコール入りの清酒は特に臭い。
「ノネナール」の分泌による加齢臭。
他に、コーヒー、中年男のポマード等々

いい男は、無臭。いい女も無臭。無臭同士が恋愛に落ちることが出来る。

 理由その11 男の体型が悪い

日本人は縄文系と弥生系の混血で、その比率は2:8~3:7と言われる。弥生系は極寒の地で暮らしていたので、厳しい環境から身を守るため目は小さく、鼻は低く、口が小さく、顔の凸凹もなくなった。体表面積を減らし、体温の放熱量を下げ蓄熱効果を上げるため胴長短足に。不必要な二重まぶたや耳たぶもだんだんなくなり、顔は平面的、皮が厚いため表情は乏しくなった。当時は、その典型がモテモテ。
現在は温暖な気候で暮らすため、縄文系の方が生き抜く確率が高く、目が大きく、鼻が高く、足が長いこのタイプがもてる。女性は化粧で縄文系に見せかけることが出来るが、男性は出来ないので見かけが劣る結果になる。加えて、日本人男性は歯並びが悪いことも問題。

 理由その12 男はダサい

男性は女性に比べてファッションに気を使わない人が多い。ファッション雑誌の種類が、男性向け17誌・女性向け100誌、発行数が男性向け250万部・女性向け2500万部であることからもそれがわかる。

 理由その13 男はくどき方が下手

日本の教育制度は暗記型なので、自分でプレゼンテーション能力を開発する必要があるが、自己表現が下手な人が多い。口説き下手の特徴は、次の三点。

「男は好きになるとすぐ告白する」
男性は、受け入れられる確率が高い場合のみ告白すべきで、告白されたいと思っている女性の希望を叶える目的で行うもの。自己目的達成のために告白しても受け入れられない。
「男は聞き上手ではない」
無駄話という概念が男にはないので、女性との会話に上手に対処することが出来ない。話すために話す、相手の共感を得るために話すという行為ができない。
「男は、ほめるのが下手」
日本社会は総じて相手を讃えることをしない。ほめて教育するという観念が浸透していない。恋愛も同じで、相手をほめることが大切なのに、これを実践する男性はあまりいない。

 

 理由その14 男はセックスが下手

性行為を科学分析することは長い間タブーだったが、ここ10年でデータが揃い始めた。 あのNHKも、「NHK日本人の性行動・性意識」を出版したが、その中にセックスにかける時間の調査がある。サンプル数3600で広範な全国調査を実施している。これによると約4人に1人は性行為にかける時間が15分未満。3人に1人は15分~30分。
これは明らかに短く、責任は男性にある。
性行為の回数も少なく、世界平均が年間103回であったのに対し日本は45回で世界最下位。下位からから2番がシンガポールの73回なので、日本はダントツ。

<Ⅲ> 女が悪い

 理由その15 女は自分の商品価値を正しく把握できない

女性は自分の商品価値を考えずに、ないものねだりをする傾向がある。相手を引きつける魅力には、容姿の他、性格・収入・頭の良さ・職業・年齢・声・しぐさ・洗練度・血筋・学歴・趣味・本人の預貯金・親の財産・色気・フィーリング・夜の相性等々・・・
 これらの要素から自分の「魅力度」を数値化し、これを前提に見合った相手を選ぶ。恋愛市場では買い手と同時に売り手であるが、自分を高く売り、自分の点数以上の点数を持つ相手を得ようとする。ところが、自分の点数を実際より高く評価し過ぎてしまうと、望む相手との乖離が大きすぎ、成就しない。

 理由その16 女は妥協できない

アンケート調査の結果、女性の理想はハンサムで、たくましくて、やさしくて、包容力があって、頼りがいがあって、三高の男性。同じアンケートで、様々な項目別に妥協が可能かの調査をしたところ、女性が男性に対する場合は、その逆と比較して妥協出来ない傾向が強いとの結果が出た。これを見る限り、心が狭くて、非寛容で、器が小さいのは女性の方だ。

 理由その17 女は好きになるとすぐセックスする

アンケートによると、3~5回目のデートでセックスまで至る。男性のデートの最終目的は性行為にあるので、それを早い時期に実現するのはその男性と長期間にわたって関係を維持したいと思うなら、間違った行為。性行為後の男性は、急速に「釣った魚に餌はやらない」状態になり、経済的資源を出し惜しみするようになる。また、基本的に男性は女性に対して貞淑さを求めているので、簡単に許すと「他の人にも?」と疑う。因みに日本人の初体験の平均年齢は、世界のそれと比較すると1歳遅くて18.6歳。

 理由その18 男が馬鹿に見える

女性にとっての高学歴は「両刃の刃」。同じくらいの学歴の男女がカップルになる傾向が強いとすると、大卒以上の学歴の女性は相手の男性も大卒者から選ぶことになり、対象は絞られる。妻が大卒以上で夫が高卒以下の夫婦は8%、夫婦とも高卒以下が67%、夫婦とも大卒以上は88%という現実からも証明される。2006年時点で高校進学者は97.7%、4年生大学進学者37%(男性26万人、女性20万人)。
さらに、大学偏差値均衡の問題が加わる。女性は自分の卒業大学の偏差値以上の大学を卒業した男性を相手として選ぶと考えると、さらに対象は絞られる。
2004年、早慶上智に入学した女性は7千人、旧7帝大+早慶上智に入学した男性は3万人。結婚相手を選ぶには、この比率で対象を考えることになる。

 理由その19 女は待っていればいい男が現われると思っている

待っていれば白馬の王子が迎えに来ると考える女性は、高校生で30%、大学生で20%、社会人で15%だが、これは自分の労力を最小限にして大きな成果を得ようとする、「大変厚かましい行為」。
前述のように、①その男が自分のストライクゾーンに入る確率1%②その男が未婚、恋人がいない確率40%③その男の口が臭くない確率50%以下④その男が自分をみそめる確率10% 全て掛け合わせると、「白馬の王子が現われて、自分をみそめてくれる確率=0.2%」その出合いには約14年を要する。これに、女性の魅力や男性の勇気まで加味すると50年にも100年にもなる。従って、ここでの教訓は明確で、『待っていれば素敵な男性が現われるというのは、幻想』

 理由その20 女は性周期で男の好みが変わってしまう

女性は性周期によって「いい男」の定義を変えてしまう。定義ができないので、当然見つけられない。妊娠しやすい時期には、たくましい顔、態度、低い声が好まれる。前述の「テストステロン値」が高い男性だが、テストステロン値が高いと子どもによくない影響を与えるとことを知っているかのように「男性的な」顔が50%以上を超えると、好まれなくなる。

 理由その21 母親が悪い

子育ては、子供の人間形成において重要な役割を果たすが、いい男が日本にいない理由は、子育てを担当する母親に原因がある。現在20歳代の男性の母親は40歳代後半~50歳代だが、高度経済成長期に生まれ、厳しい受験戦争を経験し、リスクのない安定した人生が成功した人と教えられたが、その後バブルの崩壊でそれまでの価値観は根底から崩れた。
そのような価値観の喪失の中、「しつけ」をおろそかにしてしまい、多くのモノを与え、子供が失敗から学ぶ前に解決してしまい、自立心のない子を育てた。