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過去の経験を頼りに、「これがビジネスにおける常識」と思い込んでいたり、逆に新しい知識を得たつもりで「これがビジネスにおける新常識」と自信を持っていたりする人は沢山いますが、それらは『現代ビジネスの常識』として本当に正しいのでしょうか?
今回は、’ダイヤモンド・ビジョナリー2007年3月号’(㈱ダイアモンド社発行)の特集’素朴だけど重要!ビジネスの新常識’から、ビジネスの常識にまつわるQ&Aの要旨をご紹介します。
※顧客の抱える課題や問題を解決するソリューション営業を目指し「ソリューション営業部」を立ち上げた。 需要創出がその目的。昔ながらの御用聞き型では通用しないのはわかるけど、ソリューション営業ってそんなに万能?
(回答:経営コンサルタント山本和隆)
※営業の数字は、最終的にはその会社の総合的な実力に帰着する。実力以上の成績を上げることは不可能で、営業は、実力通りの結果を出すのが仕事。提案型の提案内容は競合に筒抜けになり当て馬にされるのが落ち。
※営業成績はまずまずながら、「あきらめが早い」と怒られる。効率を考えると脈のないお客は切り捨てたほうが良いと思うが、断られても食い下がる「粘り」は必要?
(回答:エムエム総研代表取締役CEO萩原張広)
※無駄な粘りを努力と取り違えてはいけない。法人向け営業でむやみに粘るのは相手にも自分にも時間の無駄。
※モティベーションアップ、インタビュー術、企画提案力の強化など、研修を行ってきたが受講者の評価はまちまちで、劇的な結果もない。
(回答者:ライトワーク代表取締役江口夏郎)
※教育研修を短絡的な投資効果にとらわれてはいけない。その企業特有の中期的な戦略に基づいて研修内容が決められているかが重要。
※営業の講師は元カリスマ営業マンがほとんど。天才営業マンの教えは凡才営業マンにきくのか?
(回答者:ライトワーク代表取締役江口夏郎)
※カリスマ営業マンの話からヒントを得ることはできても、営業を体系的に理解し たスキルアップや、営業成績アップにはつながらない。業種が違えば営業法も異なる。時代が10年違えば、環境は大きく変化して過去のやり方は通用しない。
※利用者にとってはメリットが大きいポイント制度も、発行企業には必ずしもそうとは言えない。導入する際の注意点は?
(回答:野村総合研究所上級コンサルタント安岡寛道)
※ ポイントが一つの通貨として機能し始めている。ポイント制度導入の理由は、
①ワンツーワンプライシングのための究極のツールであること
②ポイント利用を誘導することで顧客囲い込みの実現が可能に。
※頑張ってためたマイレージポイント。ポイント制を運営する企業がつぶれたらどうなるの?
(回答:野村総合研究所上級コンサルタント安岡寛道)
※企業通貨の拡大基調は今後も継続する見込み。運営する企業が倒産すれば価値は0に。法律的に債権とみなされず、預金のような保護制度もない。後継企業が制度も引き継げば利用できる場合もある。
※ハードディスクレコーダー(HDD)の普及に伴い、録画したテレビ番組のCMを飛ばして見る人が多いというが、テレビCMの今後は?
(回答:野村総合研究所上級コンサルタント鳥山正博)
※他に適当な手段がなかったこともあり、効果が疑問視されつつもテレビCMに多額の広告費が使われてきた。今後これにかわるのは、インターネット広告。
※多くの企業がCS(顧客満足)向上や顧客第一を挙げているが、全てに応えていたら利益など上がらない。どこまで応えるべきなのか?
(回答:百年コンサルティング代表取締役鈴木貴博)
※* どこまで要求に応えるかという以前に、お客が本当に何を望んでいるかが分からなければコストは無駄に。自社×顧客という関係にコンペティター(競合)を加えたトライアングルでCSを捉える。その上で、顧客の要求を取捨選択する。
※料金体系のトリックで、一見安く見せかけて他でそれを補うというビジネスモデルは「後取り」が透けて見えるようでかえって消費者の印象を悪くするのでは?
(回答:百年コンサルティング代表取締役鈴木貴博)
※消費者に本体を安く配り、後に高価な消耗品をたくさん買ってもらうという「インストールベースのビジネスモデル」は多く普及している。本体を買うときは競合があるが、購入後はそれがいないという「売り手と買い手の力関係」に注目したもの。その過程で会社の本性に疑問を持たれたら、システムの弱点であるスイッチングコストの安さにより、顧客が離れるリスクがある。
※コンサルティング会社への支払いは本当に元が取れるのか?また、数あるコンサルティング会社の中からどこを選べばいいのか、その上手な使い方は?
(回答:金融ビジネスマン・作家北村慶)
※マッキンゼーなど大手コンサルティング会社では「マネジャー1人と数人の若手コンサルタントチーム×3か月=1億円」が相場。その価値は一過性のコンサル費用と長期に及ぶ費用で検討すべき。
失敗事例の失敗要因は
①依頼者側の依頼内容が不明確
②依頼したコンサルタントがミスマッチ
③依頼者側に実行力がない
コンサルタントの選別には、それぞれを競わせること。経営者であるパートナーに深くコミットさせること。マネジャー、チームの能力を見極めること。くれぐれも名前に踊らされないように。
※伸びる部下だと期待して、厳しい態度で仕事のミスを叱ったら「パワハラ」と言われた。部下とどのように接すれば良いのか?
(回答:クレオ・シー・キューブ代表岡田康子)
※パワハラの定義は
①職権などのパワーを背景に
②本来業務の適正な範囲を超えて
③継続的に
④人格や尊厳を侵害する言動を行い
⑤就労者の働く環境を悪化させたり雇用不安を与えること
必要な場面で叱ることは当然のことで、それをしない方が問題は大きい。問題は叱り方で、ミスという具体的な行為のみならず本人の性格や能力を著しく否定することを繰り返せばパワハラに。人を叱るときに大切なのは、理由を説明し本人を納得させること。
※ビジネスで人の好き嫌いはいけないと分かっていても、気の合わない人はいる。相手もわかっているようでギクシャク。どうしたら苦手意識を克服して普通に付き合えるか?
(回答:コーチ・トゥエンティーワン広報部マネージャー白井久美子)
※人は話す内容のほかに、表情やしぐさ、声のトーンなどの要素でメッセージを伝えている。そこに無意識に苦手意識が出てしまう。まず相手と何のためにどのような関係を作りたいのか整理し、人間関係の目的を明確にする。次に関係改善の戦略を練り、自分が変わることで結果的に相手が変わるようにする。それにはアイ・メッセージ(「(私は)満足している」「(私は)うれしい」)の手法で相手の存在自体をポジティブに評価して伝える。
※新入社員研修で「ワンコールで出ること」と教えられたが、自分の経験ではツーコールのほうが心の準備も出来てよいように思う。
(回答:コーチ・トゥエンティーワン広報部マネージャー白井久美子)
※ビジネスマナーは、ビジネスマンとしての経験を積んだあとに意味を考え直して検討することは重要。電話のコール数に関しては、業種や会社の規模、何より相手にどんな印象を持ってもらいたいかで正解は異なる。電話対応は、企業の印象を左右する重要な役割を担っていることを認識して。
※宛先でも本文でも間違っているので、誤って覚えられている様子。今後お付き合いが続くので訂正しておくべきだとは思うが、年上の人なのでなかなか言い出せない。
(回答:コーチ・トゥエンティーワン広報部マネージャー白井久美子)
※今やビジネスにおけるコミュニケーションツールの主流になった電子メールだが、ルールが確立されていない状況にある。だからこそミスを犯さないよう、少なくともマイナスの印象を持たれないようにすることが重要。名前の間違いは相手との関係を考慮し、訂正するなら早いうちに失礼にならない言い回しで。但し、過剰な敬語は慇懃無礼の印象を与えかねないので、下書きを周囲にチェックしてもらってもいい。
電子メールは記録に残るので、ささいな行き違いや感情のこじれが大きなトラブスに発展するリスクも。込み入った話や細かなニュアンスを正確に伝えるには、直接会ったり電話で話をすることも検討して。