「危ない社員」への対処法

 取引先へ怪文書を送付、会社のサーバーへ不正アクセスを繰り返して逮捕、ネットでガセ情報流布・・・そんな「危ない社員」にしないため、「危ない社員」を見つけ出して立ち直らせるため、経営者は何をすべきなのでしょう?
 今回は、「日経ベンチャー 2006.9号」(日経BP社)掲載の’「危ない部下」への対処法’から、『危ない部下は3タイプある。あなたの会社は大丈夫?』をご紹介します。


1.「我が社のエース」と任せ過ぎて 「才におぼれ損失拡大」型

 (1) 問題行動

 有能な社員に大きな裁量を与えた結果、チェック機能が働かなくなり、社員が暴走を始める。
 例えば、「営業成績が目標に達していないとき、頼りになる社員がいた。権限を大きくしたら、いつの間にか、利益を大幅に削った受注を繰り返して数字を作っていた」「資産運用を任された社員がミスをした。上司に隠れて穴埋めをしようと無理な取引を繰り返したが、結局うまくいかず会社に大きな損害を与えてしまう」といったケースだ。

 (2) 対処方法

 経営者ができるだけ多くの社員と対話することである。 なぜなら、大きな裁量を与えられた社員であっても、部下全員の目をごまかし続けることは難しい。経営者は社員と対話することで、「不穏な空気」に気付いた社員から情報を得ることが出来るからだ。
 また、このような対話は「変なことをしたら、どこからか社長に洩れる」と感じさせるため、抑止効果も発揮する。


2.デキる社員が挫折を契機に「反発・復讐メラメラ」型

 (1) 問題行動

 高いモチベーションを持っていた社員が社内の処遇などで挫折を感じ、仕事へのやる気を失ってしまう。そして、仕事へのエネルギーを上司や会社への反発や復讐心に変え、「不当な内部告発」などに走る。その手段は郵便による怪文書だけでなく、インターネット上でのデマ情報の書き込みにも広がっている。

 (2) 対処方法

【1】怪文書に対して

 騒ぎ回らず、「誰が書いたのか」を落ち着いて調べる。 不当な告発によって誰が得をするか、損をするかを考える。同時に、怪文書が届く前後の社員の変化に注意する。なぜなら、送った社員は、事前に不満を漏らし、怪文書を出すとその不満を口にしなくなる傾向があるからだ。
 また、「方言」「句読点の打ち方」「漢字の使い方」といった文書中の言葉遣いにも手掛かりがある。
 こうして怪文書を送った社員が特定できたら、周囲でその社員をうまくブロックする。例えば、人事異動でその社員の「情報源」を断ったり、厳しく監視する上司の下で仕事を管理する。

【2】社員に対して

このタイプの社員を生まないためには、企業が処遇の理由をきちんと説明し、挫折を感じさせないようにすることがポイントとなる。


3.まだまだ一人前に扱えない 「未成熟・低モラル」型

 (1) 問題行動

 仕事への意欲が低く、入社して何年過ぎても業務スキルが未熟なままの社員がいる。こうした社員は「時間を守れず、取引先に迷惑を掛ける」「協調性がなく、社内のチームワークに悪い影響を与える」など、悪い影響をまき散らす。

 (2) 対処方法

 有効な方法の一つにメンター制度がある。
 直属の上司以外の社員がメンター(『心の師』という意味)となって、定期的に問題を抱えた社員の話を聞く。社員に現状を変える意志があることが確認できたら、メンターは社員に時期や具体的な達成目標を定めて課題に取り組ませる。メンターはその結果を随時チェックする。
 こうして課題を乗り越えることで成功体験を積み重ねるなかで、仕事に対するが出てくる。