経営トップが部下に薦める80冊

 日ごろの忙しさのせいで読書から遠ざかっている人も、夏休みに読書の時間をとってみてはいかがでしょう?

 今回は、’日経ビジネス2006.8.7-14合併号(日経BP社)’から『経営トップ40人に聞く この夏部下に薦める80冊~ネット社会を読み、日本を見つめ直す』から、経営トップお薦めの書籍をご紹介します。


1. 伊藤  達  ※ルネサンステクノロジ会長兼CEO(最高経営責任者)
『日本資本主義の精神』
山本七平著
ビジネス社/952円(税抜・以下同じ)
※グローバル環境における日本の資本主義を今日的テーマとして語る。
『きょう一日を、生き抜いて』
松原泰道著
プレジデント社/1400円
※99歳の著者が仏教の精神をわかりやすく説く。
2. 井上 雅博  ※ヤフー社長
『ファウンデーション』
アイザック・アシモフ著
早川書房/680円
※著者の代表作。このような大局観を持って仕事をしたい。
『国家の品格』
藤原正彦著
新潮社/680円
※デジタル社会において、アナログ的価値観である「品格」が新鮮。
3. 太田  孝  ※近畿ツーリスト社長
『「壊れ窓理論」の経営学』
マイケル・レヴィン著
光文社/1500円
※犯罪学理論をビジネスに取り入れ、「企業イメージ」に示唆を与える。
『象の背中』
秋元康著
産経新聞出版/1500円
※死を宣告されたとき、自分の人生がどのように見えてくるか。自分の行く末について深く考えさせられる。
4. 大歳 卓麻  ※日本IBM社長
『フラット化する世界』(上・下)
トーマス・フリードマン著
日本経済新聞社/1900円
※グローバル化の本質を追求しイノベーションにいかに到達するかを解明。
『国家の品格』
藤原正彦著
新潮社/680円
※欧米主導のグローバル化に疑問を投げかけ、日本こそ世界の革新をリードすべきと論ずる。
5. 岡村 陽久  ※アドウェイズ社長CEO
『ビジョナリーカンパニー』
ジェームス・C・コリンズ著
日経BP出版センター/1942円
※「会社の存在意義」について明確に解説。やるべきことが明確になった。
『チーズはどこへ消えた?』
スペンサー・ジョンソン著
扶桑社/838円
※リスクを恐れず行動する勇気の大切さが説かれている。読むと勇気がわく。
6. 金子 昌資  ※日興コーディアルグループ会長
『経営心得帖』
松下幸之助著
PHP研究所/476円
※管理職になりたての人や経営に関心を持つビジネスマンに役立つ。経営の理論と実践の両面を効果的に学ぶための良書。
『現代の経営』(上・下)
P・Fドラッカー著
ダイアモンド社/1553円
※左に同じ
7. 中田 康雄  ※カルビー社長
『ウェブ進化論』
梅田望夫著
筑摩書房/740円
※グーグルが何を考え実現しようとしているかを明らかに。
『ハイコンセプト』
ダニエル・ピンク著
三笠書房/1900円
※「格差社会」を生き抜く処方箋を熱く語る。
8. 木瀬 照雄  ※TOTO社長
『コトバノチカラ』
宋文洲著
明治書院/1300円
※著者の見識を基に故事成語の真の意味を解き明かす。
『天辺の椅子』
古川薫著
文芸春秋/629円
※名将と言われつつ生涯ナンバー2に徹した児玉源太郎の生き様を描く。
9. 上月 景正  ※コナミグループCEO
『成功の実現』
中村天風著
日本経営合理化協会出版局/12000円
※人生の岐路に立たされた時、経営上の難題に直面した時に、新たな可能性に挑戦する勇気を与えてくれる。
『勝海舟』(全6巻)
子母沢寛著
新潮社/781円
※左に同じ
10. ビジャン・コスロシャヒ  ※富士火災海上保険社長CEO
『ティンピング・ポイント』
マルコム・グラッドウェル著
飛鳥新社/1700円
※小さな変化が社会現象の連鎖を生み、ポジティブな影響、効果をもたらすと解説。
『Blink』
マルコム・グラッドウェル著
Little Brown & Co./4407円
※無意識の中にある意識に着目し、経験や知識に裏づけられた無意識の決断の有用性を論ずる。
11. 古森 重隆  ※富士写真フィルム社長
『自分の時代』
ウエイン・W・ダイアー著
三笠書房/420円
※「自分自身の人生を如何に自分らしく生きていくか、自己を実現していけるか」を説く。
『日本の知恵 ヨーロッパの知恵』
松原久子著
三笠書房/1200円
※日本と欧州を比較し、各々の長所短所を浮かび上がらせる。国際社会における日本人としてのアイデンティティーを確立する助けになる。
12. 榊原 定征  ※東レ社長
『国家の品格』
藤原正彦著
新潮社/680円
※米国主導のグローバリーゼーションや論理のみに依存する現代社会における日本人のあるべき姿を認識させる。
『一勝九敗』
柳井正著
新潮社/980円
※ファーストリテイリング社の柔軟な経営姿勢を生きた事例として学べる。
13. 新宅 正明  ※日本オラクル社長
『茶の湯の不思議』
小堀宗実著
日本放送協会/680円
※茶の湯のスタイルから、日本の礼・作法について本質を理解し、社会人としてのマナーを再認識できる。
『世界デフレは三度来る』(上・下)
竹森俊平著
講談社/2600円
※各国、特に日本の通貨について、過去における財務当局の葛藤亜歴代要人の意思決定の結果としてある現在を見ると機知に富み興味深い。
14. 森田  豊  ※住友信託銀行社長
『「超」一流の自己再生術』
二宮清純著
PHP研究所/660円
※プロスポーツという厳しい世界で毎年結果を出し続ける人たちがどうやって進化し続けるか探っている。
『マルクス・アウレリウス「自省録」』
マルクス・アウレリウス著
講談社/880円
※心の中の軋みや矛盾に向き合いながら書いたもの。
15. 鈴木 弘治  ※高島屋社長
『クライマーズ・ハイ』
横山秀夫著
文芸春秋/629円
※御巣鷹山の日航機墜落事故発生時の地元新聞社を舞台にした小説。作者の実体験を元に執筆。
『この国のけじめ』
藤原正彦著
文芸春秋/1190円
※『国家の品格』の著者の執筆。仕事を離れてものを考えるきっかけに。
16. 高原 豪久  ※ユニ・チャーム社長
『仮説思考』
内田和成著
東洋経済新報社/1600円
※正解を短期間に出し、速やかに実行する能力が求められる時代。それを可能にするのは仮説思考と説く。細部分析を重視する人には目から鱗。
『安岡正篤一日一言』
安岡正泰監修
到知出版社/1143円
※東洋思想の第一人者である著者の金言を366語取り上げ編纂。
17. 竹内 信  ※ユニバーサル造船社長
『日本古代新史』
古田武彦著
新泉社/1600円
※日本古代史の通説を破る衝撃的な内容。真偽はともかく『ダ・ヴィンチ・コード』以上のミステリー。
『「君が代」は九州王朝の賛歌
         ~市民の古代 別巻2~』
古田武彦著
新泉社/1000円
※左に同じ
18. 田中 將介  ※三菱総合研究所社長
『ウェブ進化論』
梅田望夫著
筑摩書房/740円
※インターネット進化の方向と、それに伴う経済、産業、経営の変化の方向を示唆。今後10年を展望する際の参考に。
『二十一世紀残る経営、消える経営』
大久保寛司著
中央公論新社/1600円
※CSの本質とその重要性を著者の実体験をベースに解説。
19. 鳥原 光憲  ※東京ガス社長
『昭和史 戦後篇 1945-1989』
半藤一利著
平凡社/1800円
※現代日本人のたどった道程を学び、「段々と戦前になっていく戦後」と心配される今日において、今後の日本を考えるのに有益。
『修身教授録 現代に甦る人間学の要諦』
 森信三著
到知出版社/2300円
※旧師範学校の倫理・哲学の講師であった著者の修身科講義録。人生の真理や生き方の本質が語られ、心が洗われる。
20. 新浪 剛史  ※ローソン社長
『インポッシブル・シンキング』
ヨーラム・”ジェリー”・ウィンド、コリン・クルック、ロバート・ガンサー著
日経BP社/2000円
※考え方の転換を脳科学の視点から検討し、さらにその実践法を説く。
『ハイコンセプト』
ダニエル・ピンク著
三笠書房/1900円
※右脳的な考え方が今後の格差社会で必要とし、その実践のための感覚の磨き方を解説する。
21. 矢野  薫  ※NEC社長
『フラット化する世界』(上・下)
 トーマス・フリードマン著
日本経済新聞社/1900円
※情報通信技術の発展により世界は一つになった。その仕組みの変化を紹介するとともに、個人、企業、国家の対応策を提言する。
『99.9%は仮説』
竹内薫著
光文社/700円
※私達は知らず知らずのうちに、常識、思い込み、固定観念の世界にひたっている。科学の身近な話題を通じてそれに気付かされる一冊。
22. 西村  博  ※三井生命保険社長
『人間的魅力の研究』
伊藤 肇著
日本経済新聞社/648円
※人間の魅力の神髄を追求し、人を惹きつける魅力とは何かを教えてくれる。
『双頭の鷲』(上・下)
佐藤賢一著
新潮社/781円
※主人公の個性的な魅力とその生涯に深い感動を覚える。
23. 野木森 雅郁  ※アステラス製薬社長
『ウェルチ リーダーシップ31の秘訣』
ロバート・スレーター著
日本経済新聞社/600円
※ジャック・ウェルチのビジネス観をコンパクトにまとめた内容。
『県民性仕事術』
岩中祥史著
中央公論新社/760円
※処世観、行動パターンを県民性になぞらえて解説する。
24. 信元 久隆  ※曙ブレーキ工業会長兼社長
『「挑戦飛躍」』
楠兼敬著
中部経済新聞社/1600円
※トヨタ自動車の車内関係者が事実を丹念にまとめ上げた貴重な一冊。
『峠』(上・中・下)
司馬遼太郎著
新潮社/667円
※主人公の行動力、情報収集力、時代を読む洞察力に心惹かれる。
25. 畑中 浩一  ※松下電工社長
『国民の文明史』
中西輝政著
産経新聞ニュースサービス/1714円
※2000年を超える世界的にもユニークな日本文化の本質を解説する。
『ドラッガーわが軌跡』
P・Fドラッカー著
ダイアモンド社/1800円
※影響を受けた人々のことが、氏ならではの人間観察力で語られている。
26. 廣瀬 禎彦  ※コロンビアミュージックエンタテインメント社長兼CEO
『アイデアのつくり方』
ジェームス・W・ヤング著
TBSブリタニカ/777円
※アイデアを作る本質が書かれている。新しいアイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである。
『ものづくり道』
西堀栄三郎著
ワック/1500円
※好奇心が物事を知ることの源泉で、新しいことを考えること、工夫することの楽しさを知ることができる。
27. 福井 正樹  ※ジョインベスト証券社長
『ザ・ゴール』
エリヤフ・ゴールドラット著
ダイアモンド社/1600円
※身近なテーマの中から意思決定の重要性、方法を学べる。
『頭にガツンと一撃』
ロジャー・フォン・イーク著
新潮社/350円
※新規ビジネスに挑戦する時に不可欠な「想像力」を身に付けるためのテキスト。
28. 藤沼 彰久  ※野村総合研究所社長
『イノベーションのジレンマ』
クレイトン・クリステンセン著
翔泳社/2000円
※「優秀な企業であっても失敗するのはなぜか」という命題に明確な回答を提示。
『日本の優秀企業研究』
新原浩朗著
日本経済新聞社/1800円
※「優秀な企業に共通の特質は何か」を多くの実例で示す。
29. 藤原 曉男  ※UFJニコス会長
『街道をゆく』
司馬遼太郎著
朝日新聞社/1100円
※独自の司馬史観と教養に満ち溢れ、自らが”街道をゆく”思いにさせる。
『海洋をめぐる世界と日本』
村田良平著
成山堂書店/1900円
※海をめぐるユニークな日本論。日本と世界の関わりは海抜きには語れないと納得。
30. 古河 建純  ※ニフティ社長
『これから市場戦略はどう変わるのか』
田坂広志著
ダイアモンド社/1600円
※ネット市場でのビジネスにおいて一歩先の戦略を考える上でヒントになる要素が満載。
『ワイルド・スワン』(上・中・下)
ユン・チアン著
講談社/762円
※中国の歴史、文化、風俗などを知るきっかけの1つとして参考になる文献。
31. 松本  大  ※マネックス・ビーンズ・ホールディングス社長CEO
『わが友・本田宗一郎』
井深大著
ごま書房/572円
※本田宗一郎の精神を親友井深大がつまびらかにした一冊。仕事に対する姿勢を考えさせられる。
『陰鬱礼讃 東京をおもう』
谷崎潤一郎著
中央公論新社/1400円
※日本の伝統文化を鋭い視点で明らかに。日本人の美的感覚の論理を知ることができる。
32. 松本 正義  ※住友電気工業社長
『トクヴィルとアメリカへ』
阿川尚之著
新潮社/1500円
※19世紀初頭の新興国家米国のDNAが現在の超大国の思考・行動にいかに影響を与えているか理解できる。
『中国の「核」が世界を制す』
伊藤貫著
PHP研究所/1400円
※米中露3覇権国家の狭間で日本が取るべき方針について、現実に即した方法を取ることの客観的正当性を論述。
33. 三野 哲治  ※住友ゴム工業社長
『フラット化する世界』(上・下)
トーマス・フリードマン著
日本経済新聞社/1900円
※IT革命が「世界のフラット化」を実現し、ビジネスの仕組みを変革させようとしていることを教えてくれる。
『文明崩壊』(上・下)
ジャレド・ダイアモンド著
草思社/2000円
※イースター島の終焉など文明崩壊の事例を追いながら、今日進行する環境破壊の
危機を鋭く訴えかける。
34. 村上 憲郎  ※グーグル社長
『脳はなぜ「心」を作ったのか』
前野隆司著
筑摩書房/1900円
※ロボット学者の著者が唱える「受動意識仮説」により、人間の意識とは何かを明快に提示する。
『ブッダ論理学 五つの難問』
石飛道子著
講談社/1500円
※ブッダの「一切を知る者」としての論理学体系を「方便心論」の解説を通じて再構築。
35. 村田 泰隆  ※村田製作所社長
『ウェブ進化論』
梅田望夫著
筑摩書房/740円
※グーグルのすごさが説明できるだろうか?ネット社会を理解する一助となる一冊。
『日本外交とは何か』
矢田部厚彦著
平凡社/2200円
※日本外交を切り口として歴史や現代を知る読み物でありながら企業人としての交渉のあり方を考える上でも参考になる。
36. 八剱 洋一郎  ※ウィルコム社長
『ヒット企業のデザイン戦略』
クレイグ・M・ボーゲル他著
英治出版/1900円
※米フォード・モーターのインドでのデザインイノベーションについて解説。
『株式会社に社会的責任はあるか』
奥村宏著
岩波書店/2100円
※「株式会社の社会的責任」ならぬ「経営者の社会的責任」の表現にハッとする。
37. 和才 博美  ※NTTコミュニケーションズ社長
『海は甦る』
江藤淳著
文芸春秋/667円
※明治期の日本海軍の近代化を担った山本権兵衛の人間像を通じて、グローバルな世界観で近代化の道を歩む日本の国家ビジョンを描く。
『男の作法』
池波正太郎著
新潮社/400円
※デジタル思考型の現代で何が大切かを考えさせられる。男のわがままが数多く含まれるが、根底にあるのは「今を生きる人間の魅力」についての著者の独り言。
38. 横山 進一  ※住友生命保険社長
『現代の経営』(上・下)
P・Fドラッカー著
ダイアモンド社/1554円
※半世紀以上前の本でありながら今なお色褪せない。経営に携わるほどに一つひとつの言葉が重く深く心に響く。
『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』
安岡正篤著
到知出版社/800円
※故安岡正篤が当社の支店長会議で講義をした際の筆録。組織を預かる者の心得が集約。
39. 林野  宏  ※クレディセゾン社長
『ハイコンセプト』
ダニエル・ピンク著
三笠書房/1900円
※情報・知識社会の次の知的感性時代の到来を予測させる。
『オシムの言葉』
木村元彦著
集英社インターナショナル/1600円
※オシム氏は言葉が深い。総合力を競う試合は資金力で能力の高い人を集めて勝つ方式は成立しにくい。オシムはマネジメントでそれを証明した。
40. 和田 洋一  ※スクウェア・エニックス社長
『経営者の条件』
P・Fドラッカー著
ダイアモンド社/1456円
※自らをマネジメントするとは、成果を上げる習慣とはどういうことかを気づかせてくれる。
『インテル戦略転換』
アンドリュー・S・グローブ著
七賢出版/2000円
※知性派の実務家が記述したバランスの取れた経営書。現実の経営のダイナミックさ、面白さを垣間見ることができる。