始業前にもう勝っている!

 「朝礼」「掃除」「あいさつ」・・・かつては当たり前だったこれらの習慣も、今や’古くさい”時代錯誤’などと敬遠されがちです。しかし、これらの制度や習慣を大まじめに守り続け、あるかいは復活させ、全力で取り組む企業もあります。そして、それが大きな成果をもたらしていると言います。今回は『日経ベンチャー 2006.3号』(日経BP社)から、そのような企業の取り組み例をご紹介します。


「朝礼」・・・中小企業 (社員300人未満) の実施率43.6%

 1. ソースネクスト(東京都港区六本木ヒルズ森タワー;パソコン用ソフト企画販売)

  • 電子メールが当たり前になり、直接コミュニケーションする機会が減ったからこそフェース・ツー・フェースの朝礼が必要
  • 新入社員は朝礼前に全社員の机を回って整理整頓ベスト3、ワースト3を発表
  • 個人情報保護目的のロッカーや机の施錠状態をチェックする。該当者は朝礼で改善策を発表

★ ソースネクストの朝礼スケジュール
    9:00 毎週2名「3分間スピーチ」
    9:07 整理整頓、施錠状態などに関する「社員の報告」
    9:15 消費者の意見や販売状況等「業務に関わる連絡事項」
    9:30 企業戦略や経営理念について語る「社長講和」

 2. てっぺん(東京都渋谷区;居酒屋)

  • よし、やろういう力が湧いてきて、店の空気が変わる。まず自分が元気になって、周りも元気にしていく。元気は伝染する。
  • ポジティブな言葉で自分とチームを鼓舞する。

★ てっぺんの朝礼スケジュール
   16:45 心を落ち着け、良い将来をイメージする「瞑想」
   16:48 夢を語り、目標を自分で宣言する「スピーチ訓練」
   17:00 自分が目指す’日本一’を発表する「ナンバーワン宣言」
   17:05 接客用語を全員で唱和する「あいさつ訓練」
   17:10 ポジティブな言葉を連呼する「はい訓練」
   17:15 「一本締め」して、最後に全員で’お願いします’と唱和


「掃除」(外注せず社員自ら行う)・・・中小企業の実施率41.1%

 1. ホンダクリオ新神奈川(神奈川県大和市)

  • 掃除をすることで他人の『善意』を感じられる。これが商売の基本、接客の基本
  • 徹底した掃除の実施で近隣住民や警察からほめられる。ほめられると「努力を見てくれている」「もっと喜ばれるように頑張ろう」と思うことにつながる。
  • 特に差が出るのはクレーム対応で、人間不信があるとうまく応対できない。

 2. イエローハット(東京都目黒区)

  • 会社設立当初良い人材が集まらず、言葉遣いが荒くて横柄な「心がすさんだ」 社員が多かった。ただ、しかるとすぐに辞めてしまい『労働倒産』さえ起こりかねない世相だった。そんな中で社長1人が掃除を開始。社員が自主的に手伝うまでに10年かかった。
  • 掃除をするという訓練が出来ていないと「大きなゴミ」の存在を見落としてしまう。掃除を続けることで「心のゆとり」が生まれ、「よく気が付く社員」が育った。


「あいさつ」(来客や取引先に対し励行)・・・中小企業の実施率23.3%

 1. ガリバーインターナショナル(東京都千代田区)

  • 強制したのではないが、先輩のまねをして来客には全員立ち上がってあいさつするようになった。
  • 創業当初、ブランド力も資金も無い、あるのは元気と誠意だけという状況で、若さと元気の良さを『あいさつ』で見てもらおうと思いお客さんは全員が店の前で出迎え、帰り際は車が見えなくなるまで見送った。
  • 日本航空グループのJALアカデミーに依頼して、社員に「あいさつ研修」を受けさせる。
  • 社会人の基本であるあいさつで社会人のマナーをしっかり身に付け、中古車業の社会的イメージを上げたい。

 2. 古田土公認会計士・税理士事務所(東京都江戸川区)

  • 入り口の真正面、受付の横に所長の席があり、入り口と所長の間には2つの足型がある。あいさつを徹底させるための仕掛けである。
  • 事務所の経営計画書には「あいさつは、名前を読んで、相手より先に、元気よく、明るく、大きな声でする」と定義している。
  • あいさつの目的は「相手に喜んでもらうこと。」相手が喜ぶようなあいさつでなければ意味がない。
  • 入り口近くに所長席があるのは真っ先に挨拶するため。この努力が実り、口コミで毎年100件以上の新規顧客を獲得している。