上品な人、下品な人

 日常の所作を初めとして、思考、発言・・・生き方そのものを上品にキープしたいものです。 仕事の責任は逃れても手柄はしっかり奪う、「自慢じゃないが」と言って自慢するなど、目一杯おしゃれしても足下で「はしたなさ」が露呈する行為は傍から下品に写ります。
 ”上品な人、下品な人”(山崎武也著 PHP新書)では、巷にあふれる無作法の実例を挙げつつ、気品ある振舞い方が考察されています。本著では人の振り見て我が振り直すための気品学をご紹介していますが、今回は各章のタイトルをご紹介します。思い当たる節はありますでしょうか?


第1章 とてもつきあい切れない下品な人

 ■ 集合写真で場所取り

・身勝手で自信のない人ほど、いつもちゃっかり中央にいる
・「しつこい背後霊」と言われないように撮る側にもなる

 ■ 寸借詐欺

・タクシーに同乗して料金を払わない人
・立て替えさせておいて、その後精算しない人

 ■ のぞき見

・手帳や財布、カバンの中をのぞこうとする人
・「見てはいけないもの」は見る人が悪い

 ■ 人の収入について質問

・個人的なつきあいにビジネスの考え方を持ち込む
・「食べていくくらいは稼いでいる」が上手なかわし方

 ■ 詮索好き

・「ちょっとだけ」といって平気でプライバシーを侵害する
・相手と同じ質問を返すのが失敗しないための鉄則

 ■ 大口を叩く

・自分の関わる仕事の金額を自慢する
・「運と人々のお陰」と考えると品が高まる

 ■ 商売をする

・人と知り合うことをビジネスの「販路拡張」と考える人
・友人に出費をさせない

 ■ 売り言葉に買い言葉

・瑣末なことでのいい争いはみっともないだけ
・喧嘩は買わない限り成立しない

第2章 上品な上司、下品な上司

 ■ 忙しがる

・計画性のない上司ほど「忙しい」という
・「私だって」は上司の禁句

 ■ 責任を回避する

・不祥事の対応でわかる人物の「大きさ」
・「責任を回避し、手柄を奪う」最低の上司

 ■ 机の上を散らかし放題にする

・部下は上司の机から、だらしなさを読みとる
・片づけながらするのが品のよい仕事の仕方

 ■ 利益ばかり強調する

・利益も「腹八分目」がちょうどいい
・金銭欲と品格は反比例する

 ■ 安物ずくめ

・高額の年俸を得て徹底的に倹約するドケチ
・上司は上司らしく「格」を保つように振る舞う

 ■ 虚勢を張って傲慢

・威張りたいのは実力がない証拠
・自信があるときほど裸の王様になりやすい

 ■ 崩れた姿勢

・考え方が真っ直ぐでない姿勢の悪い人
・姿勢のよいは七難隠す

 ■ 寺をてらう身なり

・場違いな「見せ物」になる原色スーツ
・「さわやかにすっきり」が上品な身なりのキーワード

第3章 こんなに困った「品のない客」

 ■ 無料だと食べ放題

・一流ホテルで露呈する強欲さ
・はしたない試食の「はしご」

 ■ 店員を召使い扱い

・資本主義では誰もが「下働き」
・店の人に憤懣をぶつける「小さな暴君」

 ■ 窓口の人に八つ当たり

・文句はその場にいる最も責任ある人に
・苦情をいうと、アメリカでは「率直な意見」、日本では「うるさい客」

 ■ 人のライバルをほめる

・ライバルのプラス評価は自分へのマイナス評価
・レストランでは「あそこの店のもおいしい」という

 ■ ドレスコードをほめる

・店の雰囲気を壊す服装はほかの客の気分をふさぐ
・レストランでは内緒話ぐらいの話し方が上品

 ■ 専門家のいいなりになる

・自分の生活の専門家は客自身
・崇め奉られ専門家は「専制君主」になる

 ■ 手当たり次第、商品に触れる

・「きずもの」になるほど乱暴に扱う人
・下品とは人への謙虚な思いやりがないこと

 ■ 値切る

・買い物は客としてチヤホヤされる時間を買うこと
・少しの得のために値切るのはやめよう

第4章 「なぜかモテない人」には品がない

 ■ 親戚や友人の自慢

・「自慢ではないが・・・」は「これから自慢をしますが・・・」と同じ
・自慢は男女の仲でも決定的なマイナス要素

 ■ 男尊女卑

・「うちの女の子にでも届けさせます」は禁句
・レディーファーストを実践すると本格が備わってくる

 ■ 人前で化粧する

・化粧は手品と同じ。種明かしすると身も蓋もない
・化粧直しを見るほうも下品の側に入れられる

 ■ 優柔不断

・銀婚式、金婚式は偉業
・仲を発展させるには「独断専行」も必要

 ■ 足下の乱れ

・格好よく振る舞うなら徹底的に
・足は社会人としての土台

 ■ 駄じゃれ

・面白いことも大量生産すると下らない
・二番煎じは軽蔑され、品を落とす

 ■ 動物的な食べ方

・マナーひとつで生き方・考え方がわかる
・男も「しとやかに」を心得よ

 ■ 自分勝手な料理の注文

・同時に食べ始め、同時に終わるのが理想
・ホスト役のコントロールを奪っていけない

第5章 若者にシカトされる下品なオヤジ

 ■ 人をジロジロ見る

・中年男性の強引さが「いやらしさ」を増幅する
・自分の欲をストレートに出さないのが紳士

 ■ 規律なき団体行動

・団体になると行儀が悪くなるのはなぜか
・「自分の子供に見られている」と思えば振る舞いも変わる

 ■ 見下した言葉遣い

・年下にも威儀を正し、丁寧に礼をいう
・若者を自分と同じ大人として扱う

 ■ 説教をしたがる

・自分の若いときの無茶を忘れている人
・若者の失敗に「だからいっただろう」は禁句

 ■ 評論家を演ずる

・いっぱしの口を利く街角の評論家
・市井の人としての考え方を述べるに留める

 ■ 若づくりをする

・気力・体力が充実していると思っているのは本人だけ
・若づくりは限界を超えると茶番劇

 ■ 昔語りをする

・「昔のよい時代」も若い人には単なる「昔」
・失敗談であればホンネのつきあいができる

 ■ 一点のみのはやり物

・首をかしげるチグハグなファッション
・取ってつけたような一点豪華主義は「ダサイ」

第6章 渡る世間に品はなし

 ■ 陣取り合戦

・偉い人に挨拶する姿を周囲に見せつける人
・乗り物で人を押しのけて「席」を手に入れ、「品」を失う

 ■ 有名人と一緒の写真

・有名人と会ったことで自分の価値を高めようとする人
・自分を高く見せるのではなく、高めていくこと

 ■ ものを粗末に扱う

・八つ当たりは知性と教養の欠如
・ものの「人生」を全うさせる

 ■ 肌を人目にさらす

・いい年のオジサンの「タフガイ気取り」は下品
・「女らしく」「男らしく」は挑発的・誘惑的にならない程度に

 ■ 不特定多数に媚を売る

・大勢の前で媚びる演出は逆効果
・過剰なプレゼンテーションは訴える中身が見えなくなる

 ■ 上品ぶった言葉

・「ございます」より「です」「ます」のほうが心が伝わる
・大切なメッセージに美辞麗句は邪魔

 ■ 自己宣伝をする

・宣伝は人がしてくれてこそ効果がある
・個人的な判断基準に従う限りは偏見に過ぎない

 ■ 郷に入っても我を通す

・フランス料理店で「おしぼり」は出ない
・異なる生活様式を学ぶ態度は品格を高める