社長報酬を増やすための「四つのアプローチ」

 中小企業の場合、社長の3人に1人は報酬が月額50万円未満、100万円以上の報酬を得ているのは4人に1人というデータがあります。会社勤め時代に得た知識を生かして会社を興したものの「使われていた頃の方が収入は多かったし、負うべき責任も少なくて気楽だった」と愚痴をこぼす社長さんも少なくありません。
 社長報酬の国際比較では、日本は米国、フランス、英国、ドイツ、カナダ、シンガポール、オーストラリア、香港に次いで第9位。1位の米国の1/4、仏英独の1/2。その理由は、所得税の累進課税が高いうえ、「株主価値を最重視する米国では、業績に応じて多額の成功報酬が支払われるのに対し、チームプレー重視の日本では社長も固定報酬を中心に額を低く抑え、従業員への配分を重視してきた経緯がある」といいます。

 しかし、「社長は自分なりのポリシーを持って、堂々と高い報酬を取るべきだ」との意見は、会計の専門家や経営者から多く聞かれます。そこで今回は、『ポリシーを貫き、高い報酬をきっちりもらおう!』とのコンセプトの下、『社長報酬を増やすための「四つのアプローチ」』をご紹介します。(参考資料:日経ベンチャー 2007年11月号)


 アプローチ1 『経営目標を決め、達成したら報酬アップ』

  ※最もオーソドックスで「王道」とも言われる方法
STEP1 「前年比10%の売り上げ増」「二期連続の増収」など、経営目標を定める
STEP2 達成したら、社長報酬を上げる

 

アプローチ2 『社長報酬のアップを優先し、利益はほどほどに抑える』

  ※ 企業の規模が小さいうちは、まず社長報酬を多く取って、社長の個人資産を増やすのが先決との理由
STEP1 赤字でなければ、社長報酬を年々アップする
STEP2 利益額はほどほどに抑える

 

アプローチ3 『社員の給料が増えると、社長報酬もアップする』

  ※ 社長と社員の関係をより重視した方法で、社員の不満も起こりにくい
STEP1 社員の給料と社長報酬の相関関係(社長は社員の何倍もらえるかなど)を定める
STEP2 業績が良くなったら、社員の給料を上げる
STEP3 社員の給料が上がると、自動的に社長報酬もアップ

 

アプローチ4 『税金面で有利になるように社長報酬を決める』

  ※ 節税して実質的な社長の手取りを増やそう、というアプローチ
STEP1 税理士や会計士に相談する
STEP2 法人税など会社にかかる税金と、所得税など社長にかかる税金の合計が最も小さくなる水準を教えてもらう
STEP3 社長報酬をその額にする