ストレスとの付き合い方

 時間の流れの慌しい現代社会において、私たちは常にストレスにさらされています。 このストレスが心の負担となり、「うつ」や「心身症」を発症する人が増加していますが、問題は、「うつ」や「心身症」を端から自分には無縁なものと考え、自分がこれらの症状を呈していても、そのことに気がついていない人が多いということです。そのため、発見が遅れ、その分治療も困難になるというケースが多いようです。  実際、心療内科を訪れる患者さんたちは「自分が心の病になるなんて思わなかった」と異口同音に言うといいます。

 そこで、ストレスがどのような症状として身体に表れるのかをいくつか紹介したいと思います。「こんなことが?」と些細なことに思われる項目もあるかもしれませんが、軽視しないでください。ストレスからくる心の病には、早期の対処が有効かつ必要です。


  • 食欲不振になる
  • 不眠気味となる
  • めまい、動悸がする
  • 下痢や便秘をする
  • アトピーの症状がでる
  • 生理がとまる
  • 胃痛、頭痛、目の奥の痛み、腰痛、胸痛がする
  • 疲れやすい
  • 集中できない
  • 何をしても楽しみを感じない
  • イライラして他人にあたりたくなる
  • 外出が億劫になる

 

 以上は代表的なものです。

 しかし、アトピー症状などは、まさかストレスと関連があるとは思わず、皮膚科を受診することが多いようです。その場合、塗り薬などで一時的には良くなりますが、原因はストレスですから、根本的な治療にはなりません。そのため、繰り返し発症し、ケロイドになってしまうこともあるといいます。内科、外科等で治療をうけても良くならない場合は、ストレスによる心の病を疑ってみることも必要かもしれません。

 もっとも、社会生活におけるストレスを完全に取り去ることは非常に困難です。
 好きなことをしていたとしてもストレスは溜まりますし、わがままでマイペースなため、むしろ他人にストレスを与えているのではないかという性格であってもストレスを感じないということはありません。ですから、ストレスと上手に付き合っていくことが大切なのです。

 ストレス軽減のため、一日のうちに何もしない時間を設けること、散歩をすること等が挙げられますが、忙しい現代人がこれらに要する時間を確保することは容易ではありません。

 そこで、ストレスの解消とまではいかないかもしれませんが、少なくとも、さらなるストレス増加を防止する一方法として、食生活への留意を挙げたいと思います。というのも、ストレスが溜まって疲れ気味の人は、食事への配慮が欠けがちとなります。その結果、簡易なコンビニ食ばかりになったり、食事を抜くことが多くなったりと食生活が乱れるようになります。そうすると栄養素の偏りや不足から疲れがさらにたまり、ストレスの増加につながるのです。ですから、毎日の食事の際に少し意識をして、前日とは異なるメニューにしたり、エネルギー源となる動物性たんぱく質を取り入れるようにしましょう。それだけでメニューのマンネリ化を防ぎ、気分転換を図ることができます。大掛かりな対策はできなくとも、このようなちょっとした配慮でストレス対処を日々重ねていきましょう。

 

(参考文献) 浅川雅晴著 「心のセラピー」