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私の事務所から駐車場へ徒歩で移動する際、途中の交差点で話術巧みなお兄さん、お姉さんに先導される高齢者の一団に出くわすことが度々あります。いわゆる「催眠商法」の類と思われますが、先ずは繁華街で安い小物をタダで配り、’あちらの会場でもっと良いものを’の言葉に誘われて会場に入り、半監禁状態となって最後に高額な羽毛布団や健康器具を買わされる・・・というパターンの被害者予備軍とでも言えましょうか。
もう20年以上前世間知らずの新米主婦の頃、家計を助けるべく「卵1パック50円」の広告につられてのこのこと「催眠商法」会場に足を踏み入れ、監禁状態になったという恥かしい過去を持つ私は、敵の戦術にちょっと詳しいのです。途中のプロセスは省略しますが、最後に高額商品の購入を拒否すると、あんなに優しかったお兄さんが鬼と化してお年寄りを怒鳴り付けます。気の弱いお年寄りなら断りきれずに買ってしまうという心理も分からなくはない気がします。クーリングオフなどの制度もあるものの、子供達にしかられるのを恐れて相談せず泣き寝入りしてしまう被害者も多いようです。
判断力の衰えた高齢者の財産を狙った振り込め詐欺や悪徳商法から財産を守ったり、希望する介護サービスを受けたり、という目的のため第三者が財産管理や契約を行う『成年後見制度』が創設されていますが、利用は伸び悩んでいるのだそうです。便利なはずの同制度の利用が進まない背景には何があるのでしょう?
2003年度の申立件数は17,086件。近年増加の傾向をたどっているものの、認知症の高齢者が約150万人、潜在的な利用者層を含めると約300万人が対象となりうるという状況から考えると、決して多い数字とは言えないようです。
では何故、利用が進まないのでしょう?壁になっているのは大きく分けて次の二つと言われています。
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後見人の仕事は財産目録や生活プランの作成、裁判所への報告など結構複雑で手間もかかる上、負うべき責任が負担となって依頼を断る方も多いようです。かと言って弁護士や司法書士などの専門家に依頼すれば費用も発生し(月3万円程度)金銭的な 負担も生じます。また、申立の際の費用や医師による判断力の鑑定費用(5万円から15万円)も必要です。
そこで、きちんと後見手続きを経ないまま家族が法律行為を代行している方が多いと言うのが実態のようです。
後見の業務によって複数の後見人を選ぶ事が可能です。例えば、介護保険利用や入院などの手続きは親族に、財産管理は専門家に、など。また、社会福祉協議会など法人を後見人に選ぶ事も可能です。
自治体の中には、成年後見制度の利用促進のため費用を助成しているところもあります。地元自治体にお問い合わせ下さい。
上述のように、後見手続きを経ないまま家族が法律行為を代行するケースが多いようですが、その場合どのようなトラブルが想定されるでしょう?
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成年後見人制度を利用している場合は、後見人の不正に対し「任意後見監督人」
既に認知症の症状が発生している場合は親族などが申立人となりますが、老後に備えて予め本人が契約しておくのが「任意後見」です。
この制度の利用を成功させるコツは、老後の生活を具体的にイメージしておくことです。自宅に住み続けるのか、生活が不自由になった時点で施設に入るのか、あるいは子供に頼りたいのか・・・等々
そのような希望をはっきりと後見人に伝えて、それに必要な手続きを想定して契約内容を定める事が肝要です。
まず、本人の症状を出発点にして手続き内容をまとめたのが次のフローチャートです。全体のイメージを掴んでいただくことが出来ると思います。
成年後見を利用する手順は・・・?
参考記事:日本経済新聞 2005年1月30日