‘事業賞味期限切れ’からの再生

 猛烈なスピードで社会が変化し、どれだけ強みを持つ企業でもそれが永遠ではなくなっています。行き詰った事業をどのように若返らすことが出来るのか、環境激変を乗り越える経営を考える…これが『日経TOP LEADER 2012.8』(日経BP社)の特集記事「’事業賞味期限切れ’からの再生 - 強みが生きる舞台はどこにある?」です。

 今回は本記事より、事業陳腐化により倒産した企業の、倒産に至った理由をご紹介しましょう。


1.国内需要の縮小に打ち明けてず倒産

 ① ちゃんと(負債総額 約36億円)

居酒屋を36店舗展開。当初はメニューや店構えの斬新さで人気を博したが、外食市場縮小のなか競争が激化し、次第に魅力が失われた。

 ② ゆうしき(負債総額 約40億円)

呉服卸。結城紬など高品質の商品を中心に扱いを増やして成長したが、景気悪化と和装人口の減少で呉服需要が漸減した。

2.新興国との競争に負けて倒産

 ① 野尻眼鏡工業(負債総額 約37億円)

眼鏡フレーム大手。品質の高さで定評があったが、価格競争力のある中国メーカーが品質面でも追い上げ、シェアを奪われた。

 ② トクミ電子工業(負債総額 約44億円)

大手電機メーカーにヘッドホンを供給して成長したが、主要取引先が生産拠点を新興国へ移転。現地企業との競争激化で受注が減った。

3.デジタル化に対応できず倒産

 ① アーム電子(負債総額 約62億円)

電機メーカー向けの試作用プリント基板で成長したが、近年はコンピューターで回路シミュレーションができるようになり受注が激減した。

 ② 米山紙商事(負債総額 約70億円)

中堅の和洋紙卸会社。インターネットの普及や企業の折り込み広告の費用抑制になどにより、紙の受注が減少していった。

4.技術革新に付いていけず倒産

 ① ハギワラシスコム(負債総額 約100億円)

デジタルカメラの黎明期にメモリーカードを開発したが、大手企業が量産技術を確立し、コモディティー(日用品)化。単価が急落した。

 ② 新藤電子工業(負債総額 約267億円)

フィルム状の電子基板大手。世界に先駆けて量産技術を確立し、国内シェア7割を誇ったが、海外メーカーが三勇士、技術優位性を失った。