『税についての作文コンクール』にダメ出し

 事業仕訳の省庁版である「行政事業レビュー」で、国税庁の活動に「税金の無駄遣い」があるのではないかと指摘されたそうです。増税の必要性を訴える財務省の外局であり、租税制度を執行する機関となる国税庁自身の税金の使い道についてダメ出しされた格好です。

 平成24年度に国税庁の広報活動に充てられた予算は5億4,600万円で、その内訳は次の通りです。

① 税の啓発活動経費 1億8,300万円
② 申告・納税手続に関する情報提供経費 3億4,600万円
③ 広聴活動及び効果測定等経費 1,700万円

 行政事業レビューで外部の有識者から批判が相次いだのは、税の啓発活動である「中高生を対象にした、税についての作文コンクール」に充てられた予算についてです。

 批判の内容は、「実際に納税するのが遠い将来である子どもにとって、教育効果がどれほどあるのか」「事業効果の検証をせず、前年度事業を踏襲してきただけだ」というものです。

 私は税理士会において多少租税教育の事業に関わっていますが、税理士会においても年々租税教育事業のウェイトが増している状況です。当然、予算も増額されており、熱心に取り組んで下さる方々のお陰で教育現場でも高い評価を頂いています。

 ただ、国家運営の根幹をなす最も重要な役割である「税金」については、教育機関である学校の先生方が指導すべきではないかと感じます。国税庁は租税制度を執行する機関であり、私たち税理士は税金の計算をするのが仕事。行政機関としての役割や仕事の紹介は出来ても、税金の重要性を解く役割というのは違和感を覚えてしまいます。