後継者が陥る五つの落とし穴

 「TOP LEADER 2012.6号」(日経BP社)の特集は、『星野リゾート社長と考える後継者の覚悟』です。家族経営の会社においては、事業承継の成否が企業の存続や成長を左右すると言いますが、後継者が事業を承継して軌道に乗せる迄には幾多の苦難があります。事業を円滑に引き継げないケースにはどのような問題があるのでしょう?本特集ではそれを五つのパターンに分けて解説されていますので、エッセンスをご紹介しましょう。


1.父との経営方針の違いが感情的な対立にまで発展

 育った時代や経営する環境が違うので、先代と後継者で意見が異なることが多い。会社を良くしたいと意気込む後継者に対し父親が理解を示さず、後継者の悩みとなる。

 後継者がどうしたら自分の考えを理解してもらえるか考え、実践する必要がある。例えばIT分野など、先代が苦手な分野に後継者が積極的に取り組み実績を積んで理解を得ると言う方法もある。

2.拙速な改革によって社内の反発を招き、自滅する

 後継者が早く実力を認めさせようと、入社後すぐに改革を実行するケースがあるが、スピードが速すぎて幹部や社員が追いつけないことがある。

 あまりに拙速な改革は反発を招き、いくら後継者の取り組みが正しくても改革は進まず社内に居場所を失う可能性もある。後継者は改革のスピードに気を配り周囲の同意を得ながら実績を積み上げるというバランス感覚を大切にすべき。

3.先代の番頭役が反発し、何もできない

 後継者が事業を引き継いだ後も先代の番頭役が残る事がある。年齢が離れているため後継者は気になる点があっても言いにくい面がある。それが社内の意思疎通不足を招き改革のネックになる。

 後継者は残った番頭と良く話し、業務に精通した番頭をうまく使うことが大事。それでも理不尽な反発を繰り返すなら、最後は会社を去ってもらう。

4.事業に直接かかわっていないファミリーが口出しする

 創業から時間が経過していると、ファミリーの人数が増えて、株式が分散していくケースもある。㈱の分散は解決に手間と時間がかかるため先送りする後継者も多いが、放置するとリスクも多いので外部の知恵を活用しながら解決すべき。

5.重圧に耐え切れなくなり、会社を辞める

 ファミリービジネスの場合、「ちやほやされる」と思われがちだが、実際は周囲の目が思いのほか厳しい。後継者としての資質を疑われつつ実績を積み上げ信頼を得る必要がある。その厳しさに途中で挫折する事もある。ただ、諦める前にもう一度考えた方がいい。

 事業承継は一からの企業より失敗のリスクが圧倒的に小さい。後継者は「継ぐチャンスが与えられた」ことを忘れず、辞めないで取り組むべき。