利益率アップ大作戦

 利益を増やす方法は、「売上を増やす」か「経費を減らす」かの二通りです。前者は景気低迷の状況下、自社の努力だけでは解決できない問題もありますが、後者なら自助努力による対応も期待できそうです。その実現のキーを握るのは経営者で、経営者が「攻め」の姿勢でカイゼンに取り組む必要があると言います。
 今回は『日経TOP LEAER 2012.5号』より、’利益アップ大作戦 今すぐできるコストダウン策 10′をご紹介します。


【営業】「担当者任せ」を止め、ムダを無くす仕組みを導入

 1.移動距離を「見える化」する

 売上不振の理由は営業担当一人当たりの営業量不足。業務を効率化し、1日の訪問件数を増やせば、成約率はアップする。マップで確認して、訪問先の動線を星型から直線型や円型に効率よく改める。顧客は訪問予定の変更に案外問題なく応じてくれる。

 2.「ルートセールス」と「新規開拓」のあり方を見直す

 組織上の課題見直しをする。すぐ着手できて成果を上げやすいのが「ルートセールス」と「新規開拓」。両者の担当を兼務させるケースが多く、またその方が効率が良さ そうだが、楽なルートセールスに偏った営業をしがちで結果が得られにくいので、担当者を分離し、新規開拓に注力すべき。

 3.カタログの配り方、電話のかけ方にもルール

 カタログやちらしを「数多く配ること」が重要視されがちだが、重要なのは配った後のフォロー。フォローしきれない数のカタログ等を配っても無意味だし、経費の無駄。また、オフィスから顧客に電話する際割高な携帯電話を使わせないように。

 4.担当者都合で最終価格を先出ししない

 営業目標を達成できていない担当者が、商談の進んでいない取引先に最大限の値引きを施した最終価格を提示することがある。最大限の値引きが不要なケースにまで担当者都合の最終価格先出しをすると利益が食いつぶされてしまう。営業の母数を増やし、進捗度に応じたグループごとに内容の異なる営業をかけるべき。

【管理】ルーチン業務に潜むムダを丁寧にチェックする

 5.「誰も読まない資料」を作っていないか

 総務・経理・人事などの管理部門ではルーティンワークが多いことから仕事のやり方を変えにくいと思われがちだが、工夫次第で改善出来ることは多い。経営者は管理の仕事をブラックボックス化するのを止め、業務の見直しを積極的に進めよう。

 6.社員の不満には効率化のヒントが詰まっている

 管理部門でのムダは目に付きにくいものだが、「社員が仕事で困っていること」「抱えている不満」に注目すると様々なヒントが得られる。

【製造】思いついたらすぐ試す。それがカイゼン成功のコツだ

 7.100円ショップは知恵の宝庫

 100円ショップの商品は、使い方によっては思いがけないほど大きな効果を発揮する。それに安いためすぐ導入出来る。安価な愚図うを有効活用するには、まず日頃から社員に自分の持ち場を効率化したいと強く考え続けさせることが重要。社員が役立ちそうなグッズを見つける感覚が鋭くなる。

 8.カイゼン継続のため工場の配置図を常に携帯

 カイゼン活動を継続できない会社の特徴は、経営者の指示が具体的でないこと。経営者わかりやすい指示を出すために効率的な方法は、工場内の最新の配置図を携帯し、レイアウトを常に頭に入れておくこと。現場のイメージを明確に持つことで現場担当者と同じ視点に立つことが出来る。

 9.既存顧客は工場で受注、営業は新規に注力

 営業の流れを円滑にするために、既存取引先からの注文は工場に専任の受注担当者を置くなどして、直接受注するように変える。営業担当者は新規顧客の開拓に専念できる。これにより新しい仕事や付加価値の高い仕事の受注が増え、利益率が高まっていく。

 10.販売の効率化にも応用する

 製造現場を効率化する考え方は、販売戦略の見直しにも活用することができる。社員には経営的な視点を持たせて、全社で見たときに一番ムダが少なくなるような売り方、作り方を考えさせることが利益率アップに有効である。