社員食堂で人材確保

 『体脂肪計タニタの社員食堂』が出版されたのを機にちょっとした‘社食ブーム’が巻き起こりました。類似書籍や関連商品が売り出され、メディアでは「うちの社員食堂はこんなにすごい」という情報が多く流れています。

 その中の一つ、楽天の社員食堂の様子がTV番組で紹介されていました。おしゃれなカフェテリア形式で朝食・昼食・夕食が提供されていて、朝食と昼食は一部メニューを除き無料。なんと、TULLY’Sまで入っています。うらやましい…。楽天の社内公用語は英語ですが、食事中も会話は英語なのでしょうか?それは苦痛だ…と思う人では、楽天に入社など出来ないのでしょうが。

 さて、楽天の三木谷社長がこの社員食堂を作った経緯が『楽天ではなぜランチがタダで食べられるのか』(朝日新聞出版)に紹介されています。

 現オフィス(楽天タワー)に移転したタイミングで三木谷社長が「グーグルを超えろ!」と、グーグル以上の社員食堂を作ることを指示しました。理由は、次の通り。

1. 労働者対雇用者という構図ではなく、社員をパートナーととらえないと、いい人材は集まらない。

2. これまでは幹部のリーダーシップで引っ張ってきたが、さらなる成長を目指すには、社員の発想で新しいものが生まれる仕組みにしなくてはならない。

3. そのために‘会社に使われている感’をどう取り除くかが課題

4. 会社を家族のように感じてほしい。

 つまり、有能な人材を集めるばかりでなく、社員食堂で食事をともにすることで、社員に共通の価値観を醸成し、より一層の成長を実現したいという思いから、楽天は社員食堂を無料で開放することにしたという訳です。所謂「同じ釜の飯」の現代バージョンというわけです。