年金所得者の確定申告

 平成23年分の所得から、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつそれ以外の所得金額が20万円以下の場合は、税務署へ確定申告書を提出する必要はないこととなりました。  この時期、税務署を始め確定申告受付会場はどこも混雑しますし、寒い季節でもあるので高齢者の方にとって確定申告は苦痛を伴う作業でした。それが前述のルール改正により確定申告を要する方が限定され、喜ばれた方も多いのではないでしょうか。

 但し、注意が必要となるのは『確定申告書を提出する必要はないが、‘公的年金等の源泉徴収票’に記載されていない社会保険料控除や扶養控除などがある』場合です。医療費控除の対象となる医療費の支出があった場合もこれに含まれます。これらの情報は自主的に申告しないと、税務署にも市役所にもわかりませんし、お役所が積極的に情報収集してくれるわけでもありません。また、所得税の還付を受ける場合も確定申告が必要となることにもご注意ください。

 平成24年の6月頃、平成24年分の市県民税の納付書が各人に届きましたが、例年と比較して増額しているのを見て慌てて相談に来られた方は『公的年金等の収入金額が400万円以下のため確定申告をしなかった』そうです。医療費控除や任意継続の健康保険料が反映されていないのが原因ということがわかり、慌てて確定申告書を提出されました。

 確定申告書は郵送することも可能ですし、国税庁のホームページでは特別な知識がなくても確定申告書を作成できるフォームが提供されていますので、必ずしも税務署等に出向く必要はありません。確定申告書の提出はさほど難しいことではなくなっていますので、 公的年金等の収入金額が400万円以下の方の確定申告提出免除制度は、慎重に利用することをお勧めします。