東京オリンピックの経済効果

 2020年開催のオリンピック開催地として名乗りを上げている東京都。東京での五輪開催についてはその是非が取り沙汰されていますが、最大の焦点が「経済波及効果」であることに異論はないでしょう。経済波及効果が開催コストに見合うのか…?

 東京都は、既存の施設を最大限利用するとしていて、広告・チケット収入や選手村施設売却などで運営費を賄う計画を立てているため、純粋な公費支出を1,500億円に抑えるとしています。これに対し、経済波及効果は13年~20年の8年間で約3兆円。昨年の開催地ロンドンでは05年から17年の12年間で約2兆円と試算しています。しかもロンドンの経済波及効果の要因の8割を建設需要としていますが、既存施設の再利用を掲げる東京で本当にこれだけの経済波及効果が得られるのか?「ちょっと大きく出ましたね」という印象です。

 オリンピックと経済の関係に詳しい関西大学の宮本勝浩教授は東京都の試算はやや過大という印象を持つとしながらも、東京都の試算には含まれていない『経済への浮揚効果』のほうが遥かに大きい意味を持つと言います。

 オリンピックの開催地が東京に決まれば、様々な業種の企業が7年後に照準を合わせて事業計画を練り、投資をすることになる。目標が設定されることで企業は積極的に投資の意思決定をするようになると、インテグレートの藤田CEOは主張しています。また、現在の2030代の若者は高度成長もバブル崩壊も経験しておらず、「縮む経済」の中で育ってきたことが失敗を極端に恐れる原因となっている。7年後に企業の中心にいる彼らにとって、心の持ちようを変えるきっかけになる事が東京オリンピック開催の効果として期待できると言っています。

 さて、いよいよ97日、アルゼンチンのブエノスアイレスで2020年の五輪開催地が決定します。東京・イスタンブール・マドリードのどこに決まるのか…楽しみです。