2013年の倒産傾向

 景気回復基調を反映して、2013年の企業倒産件数は過去20年で最低の水準で推移しているようです。そのような状況の下、特徴的なのは「息切れ型」倒産が多いという事です。

 平成253月末で「中小企業金融円滑化法」が期限を迎えるに当たり倒産件数が増加するのではないかと危惧されたものですが、金融機関は金融庁から出された通達が抑制効果となって倒産を抑える方向に動きました。これにより倒産を免れた中小企業は全国に5~6万社と見られ、さらに増加傾向にあると言われています。

 一時は倒産を免れた中小企業も長引く不況で体力を徐々に失い、息切れするケースが目立っています。その裏づけとして、倒産原因として「赤字累計」が増加していることが挙げられます。小さな会社が自立的な回復が出来ないまま、1億円未満の負債を抱えて淘汰されていく状況です。そしてその形態は、「破産」です。

 上場企業は円高などの影響で平成253月決算で業績が回復基調となり、夏以降も大手企業の業績は好転が続いています。一般に中小企業の場合、業績の回復は大企業と比べて半年から1年程度遅れる傾向にあるといわれていることを考えると、平成26年前半が景気の転換点と見られています。

 倒産件数が増加するタイミングは、不景気や景気の後退局面ではなく、不景気と好景気の転換点であるといいます。中小企業に景気回復が広がった場合には、例えば、売上の増加に対して資金繰りが追いつかないなどのタイプの倒産増加が懸念されます。同じタイミングで消費税率が5%から8%に増税されることが悪影響を及ぼすとの危惧もあり、金融機関の支援で何とか延命している中小企業にとっては苦しい状況が続きそうです。

(参考:日経TOP LEADER 2013.12号)