「面倒くさい」が人を育てる

 前回の東京オリンピックの開会式をお茶の間の白黒テレビで家族と一緒に見た…というお年頃の私は、世の中本当に便利になったと感じます。ところが、この「便利さ」を否定し、あえて「不便さ」を演出する会社があると言います。今回は『日経トップリーダー 20142月号』(日経BP社)より、‘便利すぎる世の中だから、「面倒くさい」が人を育てる’をご紹介します。

 高い顧客満足度で注目を集めるこの会社は、ネッツトヨタ南国(高知市、自動車販売店)です。具体的にはどんな不便を、何を目的として作り出しているのか?

 

1.メーンの入り口は手動・店内のトイレサインは小さい

客とスタッフが接触する機会が生まれる。そのことで、自然にコミュニケーションが生まれ、顧客の要望を聞き出すきっかけになる。

2.見積書の印刷機は2台のみ

混雑しているときは印刷待ちに30分かかる。印刷物が反故になることのないよう、営業担当者はお客さんの要望を聞き出し条件の精度を最大限高めようと努力する。

3.新入社員に教えるのは業務に必要な最低限度のみ

その他のことは各自が問題にぶつかって自力で解決方法を考え、仕事の進め方をみつけていくよう誘導するため。人から言われてするのではなく、自分で考え働く人材を育成することを目指す。

 

 若手社員を「打っても響かない」と嘆く声が多いけれど、彼らに本当に考えるチャンスや仕事に向き合う機会を用意していないのも原因と考え、このようなシステムを構築しているとのことです。社員教育には優れた制度であるとは思うのですが、お客さんサイドの不満はないのか少し気になるところではあります。単細胞の私なら、確実に「何て効率の悪い店舗」と思うことでしょう。それとも、効率の良さを追求することを優先する思考回路を改めるべきなのでしょうか?