経営者保証に関するガイドライン

 中小企業が金融機関から借り入れをする際、80%以上のケースで社長が個人保証(経営者保証)をしています。このことが中小企業の事業展開や早期の事業再生等を阻害していると言われ、問題視されてきました。

 そこでこの課題の解決策を具現化すべく「経営者保証に関するガイドライン」が策定され2月1日に適用がスタートしました。本ガイドラインに法的拘束力はありませんが、中小企業に融資を行う金融機関や信用保証協会等がこのガイドラインの趣旨に沿った運用を実施し、中小企業、経営者及び金融機関の継続的かつ良好な信頼関係の構築することで中小企業の活力が一層引き出されることが期待されています。

 このガイドラインは‘保証契約時の対応’‘保証債務の整理の際の対応’等で構成されていますが、核は『中小企業が経営者保証を提供することなく資金調達することを希望する場合の条件』の部分ではないかと思います。これを簡単にご紹介します。私は「経営者は襟を正せ」と理解しましたが、いかがでしょう…?

 

1.法人と経営者との関係の明確な区分・分離

 中小企業は、法人の業務・経理・資産所有に関し、法人と経営者の関係を明確に区分・分離し、法人と経営者間の資金のやりとり(役員報酬・賞与、配当、貸付等)を、社会通念上適切な範囲を超えないものとする体制を整備するなど、適切な運用を図ることを通じて法人個人一体性の解消に努める。

2.財務基盤の強化

 経営者保証は中小企業の信用力を補完する手段のひとつとして機能している一面があるが、経営者保証を提供しない場合においても事業に必要な資金を円滑に調達するために中小企業は、財務状況及び経営成績の改善を通じた返済能力の向上等により信用力を強化する。

3.財務状況の正確な把握、適時適切な情報公開等による経営の透明性確保

 中小企業は、資産負債の状況(経営者のものを含む。)、事業計画や業績の見通し及びその進捗状況等に関する金融機関等からの情報開示の要請に対して、正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示・説明することにより、経営の透明性を確保する。