税に関する制度を知る

 先月、『ふるさと納税に関する制度を改正して、減税のための手続きを簡素化する』案をご紹介しました。この案に対し新藤総務大臣は「簡素化して、わけのわからないうちに税の恩恵を受けることが、果たして制度として望ましいのか?」とけん制したようです。確定申告のひと手間が必要だからこそ、制度を知り、その適用によって自分がどれだけの優遇を受けることができたのかを知ることが出来るというわけですね。

 さて、納税は国民の三大義務のひとつであり、国家運営の基盤となる…というようなことは学校で教わりますが、では『どんなことに税金がかかるか?』『何をしたら税金が安くなるか?』『そもそも自分はどんな税金をいくら払っているか?』など、結構知らないものです。

 以前、「私、税金を払ったことがないのでとても不安です。」とご相談をいただきました。新聞などで脱税に関する報道を見るたびにひそかに心を痛めていたようです。結論は、『ちゃんと納税していた。』です。会社が給料から所得税も住民税も天引きして代わりに納付してくれるから本人はちっとも知らなかった…。極端な例ですが、案外そんなものかもしれませんね。

 あえて確定申告をするという手間をかけることで、制度の意義を理解するきっかけにするという考え方は十分に理解できますが、『確定申告期の税務署で3時間待ち』というのが現実ですからね。制度の理解については別の手段で浸透させていただきたいものです。