5つの「失敗マネジメント」

 景気低迷のこの20年、社員はできるだけ失敗をしないように働いてきたと言えます。企業を存続させるため、無駄な出費を抑え確実に収益を見込める仕事に注力してきました。

 ところが景気回復局面となって攻めの経営に転じたいというのに、身にしみついた守りの姿勢・・・  「失敗を恐れず、挑戦しよう」という看板は掲げていても、社長も社員も失敗を恐れているのです。どうすれば挑戦的な風土づくりができるのでしょう?それに不可欠なのは失敗をコントロールする仕組みだと言います。

 今回は『日経TOP LEADER 2015.6号』(日経BP社)の特集‘なぜ、うちの社員は失敗を恐れるのか?’より‘挑戦する会社が必ず実践している5つの「失敗マネジメント」’をご紹介します。

 

1.失敗を定義する ⇒ 「良い失敗」と「悪い失敗」の違いを教える

 新しい挑戦に伴う失敗は良い失敗、過去に経験した失敗を繰り返すのは悪い失敗。社員にその違いを理解させることが必要。

2.失敗を共有する ⇒ 失敗を分析し、将来に生かす仕組みがあるか?

 「良い失敗」を経験するだけではなく、失敗を反省して原因を分析し、次の挑戦に役立つ教訓を引き出さなくてはならない。さらに組織として失敗を生かすには個々の失敗経験と教訓を全社で共有する仕組みが必要。

3.失敗を担保する ⇒ 失敗と人事考課の関係を明確にしているか?

 「良い失敗」にしても「悪い失敗」にしても社内でオープンにし共有することは重要だが、それを人事考課に反映させることには慎重に考えたい。あまり厳しく罰しては社員が委縮し、挑戦しなくなってしまう。

4.失敗を管理する ⇒ 挑戦の許容範囲を定めてチェックしているか?

 「良い失敗」であっても、損害額が大きければ会社は危機に陥る。どの程度の失敗まで許容できるのか、自社の財務状況や経営環境を踏まえて、予め経営者が線引きをして社内に公開することが必要。

5.失敗を発信する ⇒ 「失敗の価値」をしつこく説いているか?

 社員は本能的に失敗を嫌う。経営者から働きかけない限り、失敗するリスクを負ってまで前向きな挑戦をする社員はまず現れないと認識すること。経営者は、「良い失敗は称賛する。失敗を恐れずに挑戦しよう」というメッセージを社員に向け発信し続けることが必要。