強い中小企業の「5つの共通点」

 最初から強かった企業など1社もない。成長力と財務力を高めた中小企業の共通点を学んで、できるところから自社に取り入れようという主旨の企画’強い中小企業の「5つの共通点」’が『日経TOP LEADER 2012.4』に掲載されています。

 今回はこの特集記事から、成功した中小企業の強さの理由をご紹介します。


1. 既存客の満足度を最優先する

 強い中小企業総合ランキング2位のコマース21(東京都港区/ECサイトの構築支援)は、既存客からの追加オーダーが売り上げの60%と高いのが特徴。これは、受注したECサイトを、単に顧客の要望通りに製作するのでなく、そう考えた理由を聞き出し顧客と一緒に考えながら消費者が使いやすいサイトを作っていくという手法が功を奏しているから。
 このため、顧客が成功しそれが自社の業績の伸びや財務体質の強化に結び付く。

2. 労働生産性を上げる

 川西工業(岐阜県神戸市/手袋などの製造卸)では、36人の全社員が「1人3役」を担う。パッケージデザインを考え、カタログを制作し、積荷を下ろし…と様々な業務に社員全員が取り組むことで生産性を追求する。
 ピーエスシー(愛媛県松山市/医療用システム開発)も社員の生産性を誇る。社員が「仕事が楽しい」と感じることを重視するので、社長は社員に「仕事が面白くない」「やりがいが薄くなった」「刺激がほしい」と感じたら申し出るよう指示している。

3. 他社を凌ぐスピード力

 強い中小企業の特徴の一つが他社を凌ぐスピード力
 カーゴ・イノベーション(東京都中央区/国際宅配)は関連工場との原材料の受け渡しなどの売買が発生しなければ税関申告書類の書き方次第で通常より1、2日早く配送できるケースが多い。この独自サービスで受注が多い。

 前述ピーエスシーもユーザーである医師が求めるシステムをすぐに形にするのが強み。それには、医師から話を聞く場でイメージを具体化し、深く議論できるかが勝負と考え、実践する。
 また、経営判断も早くできるようなシステムを導入することで、ビジネスチャンスを逃さないで済む。

4.社員を厳しく育てる

 コマース21では「失注分析」を欠かさない。契約を逃した理由を分析するため担当者以外も参加して厳しく指摘する。但し、責任追及でなく改善点の追求が目的。そのためにも、「素直に意見を言い合える組織」作りを目指し、見えないところで手を抜くことを抑止する。厳しいが、社員はやりがいを感じて離職率は低い。

 鈴弥洋行(福島県郡山市/情報機器販売)の「営業の心構え」には刺激的な20項目の言葉からなる。社長は、『頑張ったけれど目標の80%達成』ではダメ。これは最初の意思が弱いから。『100%必達』という強い意志がその実現に必要な行動を呼び起こして目標を達成させる。

5. 後継者が変革の起爆剤

 佐須田建設(神奈川県綾瀬市/建設工事)も三貴工業所(愛知県名古屋市/車いすの製造)も、後継者が新市場開拓・財務面の改善・営業内容の見直しなどに取り組んだことで経営を改善した。
 財務体質の改善は子供のスムーズな事業承継にもつながる。