任せたくても任せられない症候群

 「任せた方が良いのは分かっているけど、任せられない」と悩む経営者は多いようです。特に最近は増加傾向にあるようで、経営者の悩みの種になっているようです。今回は、『日経TOP LEADER 2015.11号』より、特集‘できる社長ほど陥りやすい 任せたくても任せられない症候群’から‘実践編 効果実証済みの任せ方教えます…社員に仕事を任せたときに、経営者が直面しやすい悩み6つ’の一部をご紹介します。

 

Q.社員が「指示待ち体質」だから任せられない
A.「指示」するのはやめ、「質問」しよう

 *経営者が細かく指示しないと会社が回らないと考えるのは根本的な勘違い。指示は出せば出すほど社員を指示待ち体質にしてしまう。質問するようにしたら、次第に社員自身が考え、行動するようになる。

Q.会社の数字を社員に公開した方がいいのですか?
A.誰にでも分かるように、簡単な指標を作る

 *自分が担当する仕事はどれくらいの儲けを生むのか。そもそも会社はどういう経営状態なのか。そうした経営数値を社内で公開・共有すれば、₋社員の経営マインドが高まり、任された仕事にも前向きに取り組みやすい。ただ、計算書類の読解は容易ではないので効果的なのは経営データをわかりやすく指標化する手法だ。

Qa君に任せた手法が、b君に通用しないのはなぜ?
A.一人ひとりの個性を観察し、任せ方を変える

 *ある人にはうまく仕事を任せられたのに、別の人には通用しない。こうした状況に陥るのは、その社員に適した仕事を任せたり、モチベーションが上がる的確な言葉をかけたりができていないから。

Q.部課長が仕事を抱え込み、社員に任せようとしない
A.役割を明確にし、全社員に伝える

 *現場で手を動かし、汗をかいてこそ仕事という意識が根強い場合、社員も上司が現場を手伝わないことに不満をもつ場合がある。現場の仕事を手伝う管理職が偉いのではないという意識を植え付けることで改善する。

Q.新米社長だから、仕事を任せにくい
A.信頼関係をつくることから始める

 *特に先代社長が強いリーダーシップを発揮していた場合、社員が現社長のいう事を聞いてくれないというケースがある。まず重要なのは信頼関係の構築で、そこから実務的な取り組みを進める。

Q.社長でも現場の仕事を続けたい
A.「70点満点」でどんどん任せる

 *社長の仕事は経営計画の立案であり、社内の士気高揚であり、取引先や金融機関との折衝であるが、現場大好き社長もいる。これが悪く働くと、社長が幅を利かせ社員が育たない結果を招く。自分が得意とする分野だと特に社員に任せられない状況となるが、思い切って任せないといけない。