「カリスマの誤算」から学ぶ

 破竹の勢いで成長を続けた外食大手のワタミでしたが、直近2期は最終赤字となり創業以来の危機に直面しています。ベンチャーの代表格だった企業に何が起こったか…

 このようなテーマの記事が「NIKKEI TOP LEADER 2015.12号」に掲載されています。‘ワタミの案件から何を学ぶか?’を経営の視点から解説されていますのでご紹介します。

 

1.「踊り場をつくる勇気」

 ワタミの場合、会社と社員の成長速度が一致していなかった。会社が成長拡大期にあるとき、経営者以外に教育が出来る人材がいないとか教育の仕組みが整っていないとかの理由で社員教育が追い付かず、組織力が急速に低下することがある。

 解決策の一つに「成長の踊り場を作る」方法がある。教育が事業拡大に追いついていないと気づいたときは、いったん成長を止めてきめ細かく社員をフォローする勇気も必要ではないか。

2.「縦割り」が組織を劣化させる

 会社が成長して複数の事業部門を抱えると部門同士の意思疎通が少なくなり、各部門 はそれぞれの利益だけを考えて行動するようになる。これが組織の「縦割り」だ。

 縦割りの弊害は部門ごとの部分最適を追求するあまり会社全体の最適を考えない「内向き思考」になること。部門間の情報共有が進まない、連携がうまくとれないなどの弊害を生じる。ワタミはこの典型で、部門長に責任を負わせていたため、失敗を恐れた部門長は自分のめが届く範囲でしか挑戦しなくなり、自分の部署のことしか考えなくなった。

 解決策は最終責任がトップにあると明言する事。部門長の肩の荷を下ろし、互いに協力し合おうとする雰囲気を作る事。

3.耳の痛い意見を受容する忍耐力を持つ

 理念が企業経営の根幹であることは間違いないが、その浸透を徹底するうちに組織の多様性まで排除するのは望ましくない。理念に即しているなら耳の痛い意見を受容する度量がトップには必要。

 異質な意見を取り入れることが必要だと頭では分かっていても、無意識のうちに感情が邪魔をして実行できないこともある。それを乗り越え行動に踏み切ることが出来るかどうか、器の大きい真の経営者になるにはその忍耐力が必要。