「好きなことだけ!」を仕事にする経営~小さな会社の成長を左右する、カネの力

 アウトドア総合メーカーのスノーピークは現在東証一部に上場していますが、小さな地方企業から出発したそうです。当初付き合いのあった地元金融機関からは担保、個人保証付きの融資しか受け付けてもらえない状況でしたが、法人の事業が社会の役に立つこと・他社にない強みがあること・今後世界を相手に成長できることを説明したところ、メガバンクの一行が無担保無保証の融資に応じたそうです。

 その後バランスシートの更なる改善に取り組んだ結果内部留保が充実して実質的に無借金経営という状況でしたが、こうなると社内では新たな挑戦に尻込みする風潮が生まれたようです。

 そこで社長はあえて多額の借金を背負って新社屋を建設し、社員に危機感を持たせたようです。結果的に新社屋の建設は功を奏してブランドの可視化を実現し、会社は急成長を果たします。このように『勝負時を見極める』のは経営者に課せられた課題となります。

 次のターニングポイントは『マザーズ上場』でした。ここで目指したのは、キャンプファンでない人にキャンプファンになってもらい、キャンプを通じて人間性を回復してもらうこと。上場による資金の充実で直営店の拡大・レストランなど食事業への参入・アパレル事業の海外展開などに投資を行う事が可能となりました。

 企業にとってお金は血液です。血液が少なければその分活動も小さくなります。内部留保を投資に向ける段階では財務内容が良くなる一方、売上サイズは伸びません。銀行からの借入と市場からの資金調達でスノーピークは成長してきましたが、それを社員に実感してもらうためには手厚いボーナスの支給も不可欠です。

 社内外の資金の流れに最新の注意を払うことは小さな会社が大きく背う徴するために不可欠と言えるでしょう。

(参考:日経TOP LEADER 2016.1号)