軸は商業でない

 地方の商店街はシャッターが目立ち、それは次々と連鎖して活力が失われています。商店街の活性化を目的に行政が補助金を出し、地域再生プロジェクトなど組まれます。ただ、その軸に『商業』を据えたのでは成功しないと言うのは補助金に頼らない地域再生を成功させたとして全国からの視察が絶えない岩手県紫波町のプロジェクトリーダー岡崎正信氏です。

 軸に据えるべきは商業よりももっと普遍的な集客装置だといいます。例えばヨーロッパなら教会です。教会を中心に広場が連なり商店やカフェが並びます。教会という普遍的集客装置が商業を支えているというわけです。

 目を日本に転じて、何が教会の役目を果たすかというと学校や役所という公共施設が考えられますが、これらは敷地の区分がガチガチで人が外に滲み出ない。そこで岡崎市が集客装置として軸に据えたのが図書館でした。前には遊歩道が走る広場があり、ぶらぶら歩くと地元野菜の販売所があるなど日本人が理想とする「健康の維持・増進・ヘルシーな食」というライフスタイルが実現しました。 (日経TOP LEADER 2016.9号)

 地方経済の疲弊はどんどん深刻になっています。ただ、発想次第で改善の道は残されていると確信できるうれしい記事です。