TPP 21の対象分野

 野田総理がAPECにおいてTPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加を表明しました。TPP参加を巡っては、賛成論者と反対論者が真っ向から対立する図式となっているのは各メディアの報道の通りです。
 そもそも国民への説明不足が混乱の原因であると言われていますが、TTPの基本部分である『21の対象分野』の※内容・○日本にとってのメリット・△デメリットをご紹介します。(参考記事:日経ビジネス 2011.11.7号)


1. 市場アクセス

 【1】農業

※農林水産物の関税の撤廃・削減方法
○日本からの輸出活性化
△輸入増加で国内農業の支援が課題に

 【2】工業

※鉱工業品の関税撤廃・削減方法
○日本からの輸出活性化
△輸入増加で国内企業に影響

 【3】繊維・衣料品

※繊維・衣料品の関税撤廃・削減方法
○日本からの輸出活性化
△輸入増加で国内企業に影響

2. 原産地規制

※関税減免の対象基準
○貿易事務の合理化進展
△TPP独自ルール策定で事務混乱も

3. 貿易円滑化

※貿易手続きの簡素化
○人員不足の中小企業の貿易促進
△特になし

4. SPS(衛生植物検疫)

※動植物の病気予防ルールなど
○ルールの明確化
△現在の検疫水準の緩和も

5.TBT(強制規格・任意規格・適合性評価手続き)

※製品の安全や環境規格のルール
○海外基準の透明化向上で輸出促進
△遺伝子組み換え作物表示に影響も

6.貿易救済(セーフガードなど)

※セーフガードの発動条件
○日本が重視する国内産品の保護
△発動条件が厳しくなる可能性

7.政府調達

※公共事業の発注方法
○海外への公共事業参入が容易に
△入札時に海外企業へ配慮も

8.知的財産

※模倣品や海賊版の取り締まり
○日本企業の知的保護が拡大
△日本の法制度と整合しない恐れ

9.競争政策

※カルテルなどの防止
○海外当局との協力推進
△日本の法制度と整合しない恐れ

10.サービス(越境サービス)

※サービス貿易のルール
○サービス業の海外展開促進
△国内法改正を求められる可能性も

11.サービス(金融)

※海外での金融業のルール
○金融業の海外ビジネスが容易に
△郵政、共済が問題視される恐れ

12.サービス(電気通信)

※通信事業者に求めるルール
○通信事業者の国際取引が容易に
△特になし

13.サービス(商用関係者の移動)

※ビジネスマンの入国・滞在ルール
○日本人が相手国に入国しやすくなる
△特になし

14.電子商取引

※電子商取引の原則
○海外での電子商取引の環境整備
△既存のEPAと不整合になる恐れも

15.投資

※外国投資家を差別しないルール
○日本企業の海外投資環境の改善
△国内法改正の可能性も

16.環境

※貿易重視での環境基準の緩和制限
○環境分野で日本企業の競争力向上
△海洋資源保全の国内政策見直しも

17.労働

※貿易重視での労働基準の緩和制限
○廉価な製品と日本製品の競争回避
△特になし

18.制度的事項

※協定の運用を協議する機関の設置
○企業の運用を協議する機関の設置
△特になし

19.紛争解決

※締結国間の紛争解決ルール
○協定解釈などの解決手続きの明確化
△特になし

20.協力

※新興国への技術・人材支援
○新興国でのビジネス環境改善促進
△特になし

21.分野横断的事項

※複数分野にまたがる規制のチェック
○幅広い視点から貿易・投資を促進
△特になし