税・社会保険の書類不要へ

 政府は、2021年度を目標に企業による税・社会保険料関連の書類の作成や提出を不要にする検討に入りました。政府のIT総合戦略本部(本部長:安倍晋三首相)が来年3月末までに実現に向けた工程表を示す予定とのことです。

 現在企業は、従業員の給与所得の源泉徴収票や健康保険、厚生年金の届け出などに関する書類を作成し、税務署他に提出していますが、従業員関する書類は社会保険関連に限定したものだけでも企業全体で年間1憶件を超える数の申請があります。電子申請を認めている書類もありますが、企業が情報を集め書類を作成する手間は紙ベースの場合と変わらないのが現状です。

今回の検討の対象としているのは、源泉徴収に必要な税務署類など従業員に関連する書類が対象で、具体的なイメージは下図のとおりです。

 

【現在】

*企業

源泉徴収票・給与支払報告書

などの書類作成

      

<提出>(一部ネット利用可)

      

税務署・ハローワーク

労働基準監督署・健康保険組合

健康保険組合・市区町村

 

【2021年度(目標)】

*企業

源泉徴収票・給与支払報告書

などの提出不要

      

<収集>政府認定クラウドサービス

      

税務署・ハローワーク

労働基準監督署・健康保険組合

健康保険組合・市区町村

 

新しい仕組みが実現すれば企業の負担は大幅に削減でき、行政側にとっても書類保管のコストが削減できるメリットが期待できます。経済界全体で1兆円近い事務手続きコストがなくなる可能性があるとの試算もあるようです。

『政府認定クラウドサービス』の運営は企業の総務関係のクラウドサービスを手掛ける事業者を想定しており、仕組み構築のためクラウド事業者などの業界団体との調整を始めているようです。