遺伝子を目覚めさせて100歳まで生きる

 今年の夏、久しぶりに高校の同窓会がありました。高校生の頃と殆ど変わらずそのまんま制服姿になれそうな人もいれば、迷うことなく先生の席に案内してしまう人もいて、この違いはどこからくるのかと考えていました。『婦人公論2011.10.22号』(中央公論新社)に「これか!」と思う記事を見つけましたのでご紹介しましょう。


1.サーチュイン遺伝子

 ヒトの正常な細胞は、通常50~70回分裂するとそれ以上分裂せず新しい若い細胞を作ることが出来なくなる。原因は、染色体の一部であるテロメアDNAという部分がすり減って再生できなくなるため。このことからテロメアDNAは「命の回数券」と呼ばれる。

 最近の研究でサーチュイン遺伝子にテロメアDNAがすり減るのを抑える働きがあることがわかり始めてきた。サーチュイン遺伝子が働いてテロメアがすり減るのを抑えていれば、まだ細胞の分裂は可能で見た目の若さをキープすることが出来る。では、どうすればサーチュイン遺伝子が働くのか?答えは『摂取エネルギーを減らすこと』

 サーチュイン遺伝子は全部で7種類あって体のどこに存在するかで働きが異なる。その働きがもっともわかっているのはSIRTIという遺伝子で、脳内で神経伝達細胞の分化を助ける一方で神経組織の変性を抑える。また、脂肪細胞の中にあるときは脂質代謝を促し、腸ではガン化を抑える、血管の柔軟性を高めるなど、体内のいたるところでさまざまな働きをして、体の健康と若さを保っている。

2.その他の長寿遺伝子

 サーチュイン遺伝子のほかにも『長寿遺伝子』はあり、その数は50種類以上ある。普段は眠っているこれらの長寿遺伝子は何をきっかけに働き始めるのか?

(1) サーチュイン経路

 食事からの摂取エネルギーが減る、もしくは赤ワインなどに含まれるポリフェノールの一種「レスベラトロール」によって活性を高められると考えられる。

(2) TOR経路

 食事制限でアミノ酸を減らし、細胞がアミノ酸欠乏状態になると働き出す。

(3) AMPキナーゼ経路

 運動で筋肉を使うと代謝をコントロールしている長寿遺伝子「AMPキナーゼ」の活性を高めることが出来る。運動で細胞内のエネルギーが消化されれば、食事でカロリ ー制限したのと同様の効果を引き出すことも可能。

(4) インスリン/IGF・I経路

 炭水化物や甘いものに含まれる糖質の摂取が減ると活性化する。糖質は体内でブドウ糖に分解されるが、その際インスリンが必要になる。炭水化物や甘いものを食べ過ぎていると、インスリンがたくさん必要になり、血中濃度が上がってしまうので要注意。