ニッポンの宇宙力(日経ビジネス2011.8.29号より)

宇宙開発に関する問題です。

Q1. 一部の大企業による特殊な産業では?
Q2. 世界での日本のシェアは微々たるものでは?
Q3. 通信以外に、ビジネスとしての広がりがなさそうだけど?

解答は次の通りです。

A1. 数百社以上の中小企業も参入する裾野の広い8兆円産業です。
A2. 新興国需要の拡大で、日本のシェアが今後急伸する可能性があります。
A3. 防災システムから宇宙旅行まで応用サービスの将来性は無限大です。

「やるじゃんニッポン」が、私の感想ですが皆さんは如何でしょう?ちょっと日本の宇宙開発能力を過小評価していました。今回は、上記の三つのQ&Aのエッセンスをご紹介します。

 

Q&A1.

宇宙事業はロケットや衛星、地上設備の製造だけではありません。 日本の宇宙産業市場の中核を成すのが三菱重工業、IHI、三菱電機、NECなどロケットや衛星、地上設備を製造する宇宙機器産業で、市場規模は2,697億円。

次が人工衛星の中でも主に放送・通信衛星を活用した宇宙サービス産業でスカパーJSATホールディングスやNTTドコモ、日本放送協会(NHK)などが代表的な事業主体。事業規模は7,371億円。

金額ベースで規模が最大なのは宇宙サービスを利用するための受信機などを生産する「民生機器産業」で事業規模は3兆6,772億円。具体的には、衛星放送チューナーを搭載した液晶テレビやGPSを利用したカーナビ及び携帯電話などの製造。

さらに宇宙利用サービスと関連民生機器を通じて得た情報を活用する「ユーザー産業」の規模が3兆1,696億円に及ぶ。

Q&A2.

2010年の人工衛星の世界シェア(静止衛星の受注残)1位は米国の49%、欧州が28%、ロシアが14%、中国6%、日本はたった1%。 ただ、その日本の宇宙関連事業は新興国市場へ向けて、進撃を開始している。小型化や独自設計など様々な差別化戦略で、大きなシェアを誇る欧米勢に挑戦中だ。急成長市場の攻略に成功すれば、宇宙産業は復興の原動力になるはず。

実際、新興国の需要を巡る商戦で日本は欧米に対し意外な健闘を見せている。シンガポールと台湾の企業への「通信衛星ST-2」の売り込みに成功した三菱電機は、トルコの国営衛星通信会社から「トルコサット4A」と「同4B」の受注にも成功している。

Q&A3.

米国日帰り出張を可能にするスペースプレーン、大気圏外に上がるエレベーターなど、未来型の宇宙技術が完成した際の応用市場の規模は無限大。長い歳月と巨額の資金はかかるが、日本が研究開発を進める意義はある。

スペースプレーンとは、飛行機のように滑走路での離着陸が可能な宇宙船のことで、ガンダムの世界では「スペース・シップ」の名で大気圏の内外を自由に往復する輸送機として描かれている。これが現実のものとなろうとしている。

これが完成すれば観光客を乗せて宇宙を往復したり、超音速で外国まで飛んだりできる。現在約13時間を要する 東京⇒ニューヨーク が2時間半に短縮される。