豊かさとねぎらい(上司と部下のココロ学)

 『日経ビジネス(日経BP社)』に、今年1月から月1回のペースで産業医荒井千暁氏により「心と体~上司と部下のココロ学」というコラムが連載されてきましたが、12.6号が最終回でした。
 ここでは、実在する3名のモデルから作られた、1人の「メーカー勤務の51歳の男性」の視点を通じて働き方や生き方の多様性について考えるストーリーが綴られてきました。
 本号において筆者は、人々の価値観が変化してきた背景について洞察していますので、ご紹介します。


 現代人には「ねぎらい」が減ってきている。懇親会の場で将来の構想を饒舌に語る人はいても、ここにねぎらいの言葉をかける人を殆ど見ない。相手をねぎらうには日ごろ相手の所作や苦悩、その解決プロセスを知っていなければならない。これを知っていればもっと優しい存在になれる。究極の自己愛からくる相手への関心のなさが「無関心」を生むなら、これも根は同じ。

 このような現象の理由は「米国」と「情報」ではないだろうか?それまでの日本にあった’日本的な多様性’が消えたのは、米国型価値観の蔓延によるのだろう。本来分化成熟すべき物の考え方が未分化のまま放置され、さらにそれが容認されるまでに至った理由は溢れる情報にあるのではないかと疑っている。情報処理に取られる時間が増えるほど立ち止まって考えることをしなくなり、またそれで済まされるシステムになってしまっている。

 今、私たちは何を残し、何を捨てるべきか・・・。