イマドキの必勝・集客術…「小さい」「軽い」「面白い」で、消費者の心つかむ

 長引く不況で、「そこに店を出せば確実に集客が見込める」という場所はなくなりました。店舗にとって、一等地への出店は、最も関心の高い事項と言ってもいいけれど、インターネットの普及などにより、好立地だけでお客を呼びにくくなっています。逆に、新たな発想や運営方針に基づいた立地戦略の構築求められているのです。

 今回は『日経ビジネス 2010.10.11号』(日経BP社)より、’イマドキの必勝・集客術・・・「小さい」「軽い」「面白い」で、消費者の心つかむ’の一部をご紹介します。


1.「小さい」を極める … 隠れた売り場を発掘

 ■ 青山フラワー

 JR松戸駅に隣接する駅ビルの、もとは「通路」という場所を利用して、「世界一細長い花屋」を開店。狭ければ狭いほど店は繁盛すると考えている。

 冷蔵庫を置かず新鮮なうちに売り切る、低価格の商品を揃えて高回転の業態を確立する、などの特徴で売上を伸ばしている。

 ■ HIS

 昨年投入した「旅行移動相談車」が盛況で、現在ある2台の週末は4カ月先まで予約済。
 出かける場所は、イベント会場など人が集まる場所の他、新たな出店候補地。但し、営業はせずあくまで広告のみ。新たな出店候補地を回って地域密着型営業の感触を得ることが出来るのも特徴。

2.「軽い」を磨く … あり得ない、で勝つ

 ■ ホリデイスポーツクラブ

 人口18万人の小都市愛知県安城市の田園地帯に建つのがフィットネスクラブ「ホリデイスポーツクラブ」。
 スポーツクラブは、大都市の駅前など好立地に建つのが一般的だが、このような地方都市ばかりに出店する同社の業績は優良。地方都市の、しかも一等地以外の土地は借地料が安いので、採算ベースに必要な会員数の確保も少なくてすむ。
 また、社員をインストラクターにしてコストを削減したり、クラスの人数を多くして盛り上がりを狙うなどの工夫もしている。

 ■ 山地ユナイテッド

 北海道の同社は、輸入住宅販売を手がけるが、順調に販売数を伸ばしている。 山地が経営する家具店は、東京の輸入家具販売会社と提携し、モダンなデザインのソファやテーブルなどを置く。この家具店の二階に住宅相談窓口があり、若いカップルで賑わっていて、ここを経由した住宅販売実績が良好。

3.「面白い」を楽しむ … 空白地に飛び込む

 ■ ドンドンダウン オン ウェンズディー

 古着屋の同店は、名の通り水曜日に店内全商品を一斉に値下げする。
 値段は1,000円から10,000円まで1,000円刻み。それが水曜日に1,000円ずつ下がる。1,000円は500円に。それが次の水曜日にさらに1,000円の値下げとなる。
 仕組みの面白さも人気の理由になっている。古着を売る人にも同店は人気がある。何でも必ず買い取ってくれるし、月曜と木曜は買取価格が1.5倍と言うイベントもある。  「面白い」を楽しませる店づくりでより多くの集客を狙っている。

 ■ つくばラーメン村

 中心街から離れ田園地帯にラーメン店4軒と30台分の駐車場の「つくばラーメン村」がある。 ここのラーメン店の繁盛の理由は、運用コストの低さにある。各店は出店時に250万円の保証金を払えば、後は売上の10%を賃料として払うだけ。
 土地は、地価が安い市街化調整区域なので、規制をクリアするため「車両を利用した工作物」であるトレーラーハウスを利用している。一番苦労したのが、「配線や配管を接続する場合、工具なしで脱着可能」という条件。これに関しては条件をクリアする配管接続部を開発し、実用新案に登録している。