ヒットの新法則 ~ 商機を生むのはこの売り

 景気の低迷、少子高齢化、雇用不安等々を背景に、著しい消費不振が続いています。ただ、こんな状況にあっても意外な場所で意外な商機が芽吹いているといいます。今回は『日経ビジネス 2010.7.12号(日経BP社)』より、”ヒットの新法則~商機を生むのはこの売り場”をご紹介します。


■ ホテル×家電・日用品 ~ ママは場外に連れ出す

 家事や育児に忙しく、店頭に足を運ぶ機会が少ない「巣にこもった母親たち」に利用してもらうため「オリエンタルホテル東京ベイ」が試みたのは母親をターゲットに据えた空間とサービスの提供。4~6歳児を持つファミリーをターゲットにキディスイートを開設した。狙いは子どもを喜ばせることではなく、子育てママの’ポジティブ&リラックス’。フットマッシャージャーやイオンスチーマーナノケア、アロマディフューザーを備え、それら商品の試用を目的の一つとしていいる。
 若い母親たちはたまに自分のために消費をしたいと考えていて、価値があると判断したものへの対価は惜しまない。さらにブログやツイッターで情報を広めると言う効果も期待できる。  

■ 書店×雑貨・娯楽品 ~ 書店は本屋にあらず

 レシピ本+ケーキ型、電子たばこ、ダイエット本+ダイエットグッズ、栽培本+種 etc. 書籍とそれに関連した商品をセットにすることで販路が広がり、大量生産によるコストダウンが可能になった。
 このように、異業種企業と出版社のコラボレーションが増える背景には日本の流通経路の変化がある。玩具店や文具店が減り、コンビニは増えた。書店も減ってはいるもののコンビニを合わせれば6万店近くになる。その流通網を利用したことがヒットにつながった。
 この傾向はまだまだ続くと見られ、書店は本屋の枠を超えた流通チャネルとして息を吹き返すかもしれない。

■ ゲーム×宿・切符・ツアー ~ 携帯ゲーマーも旅したい

 ネットユーザーをリアル消費に導く携帯ゲームが人気だ。現実世界で移動するとその距離に応じて仮想通貨がもらえる。それによりバーチャル移動に必要なグッズを手に入れる。
 「出不精な人の背中を押し、一歩外に出させる。いざ外出すると意外な発見があり、お出かけが楽しくなる。」これがこのゲームの果たす役割とされる。さらに、現実世界でのおみやげ購入で提携店の売り上げは急上昇している。移動手段となる電車の専用切符の販売や提携リゾートホテルの利用状況も好調だ。

 ゲームも使いようによっては優れたマーケティングツールになり得ることがわかる。