攻めの採用で成長

 2010年春の新卒者の就職内定率は、09年10月1日時点で62.5%でした(厚生労働省、文部科学省の共同調査)。
 これは、就職氷河期とされた03年、04年に次ぐ低水準で、「就職氷河期の再来か」と言われています。
 不況の中、新卒採用の抑制により総人件費を抑えようというのが企業の思惑です。しかし、このような採用活動によって企業が高齢化し、組織の新陳代謝が滞れば、日本企業の国際競争力はさらに衰えてしまうかもしれません。
 日経ビジネス2010.4.12号では、不景気の中でも攻めの採用活動を展開し、成長を支える人材を集めている企業を紹介しています。


■ ノジマ

 内定を取れていない卒業間近の学生を実店舗で10日間研修させ、店長が内定を出すという特別採用枠を設けた。
 面接なしということと、店長が採用を決定するという2点がポイント。
 一緒に働く店長の目線で選ぶと、エントリーシートや面接だけでは分からないよさが見つかるという。

■ 楽天

 待ちの姿勢に終始するのではなく、あえて自社を志望しない優秀な学生を採りにいくという戦略をとっている。
 採用担当者を各地の有力大学に潜行させ、一人当たり20~30人を発掘させる。社長との食事会等で接触を続けるなかで楽天への志望度を高めていく。
 人気企業といえど、本当に優秀な人材を採用するために攻めの採用に挑んでいる。

■ 物語コーポレーション

 採用担当社員が全国の小さな大学の就職課にまで足を運び、社長は各地で毎年30回以上の企業説明会を開く。
 学生に不人気の外食チェーンだが、地道な活動を継続することで70名の採用枠に対して1万人の応募者を集めるまでになった。
 不人気会社だからといって諦めず、理想とする風土をつくるために新卒採用に努力している