トップの暴走を防ぐコーポレートガバナンス

 会社は、強い権限を持つリーダーによって恩恵を受けることもあります。しかしその反面、権限が集中したトップの暴走が、会社を潰してしまうこともあります。特に、オーナー企業では、その傾向があるようです。 日経ビジネス2010.3.8号(日経BP社発行)では、自社に合ったコーポレートガバナンスづくりを進める企業が紹介されています。その一部を簡単にご紹介します。


株式会社船場(商業施設の設計、施工)

非上場のオーナー企業。2代目の栗山社長は、社長であり大株主でもある自分がすべての決定権を握る仕組みのままでよいのかと疑問に感じ、NPO法人全国社外取締役ネットワークを介して社外取締役を迎えた。
社外取締役は社長に言いにくいことを言うという役割を担い、それによって決算スピードの遅さやグループ会社の管理のいい加減さが改善された。

スミダコーポレーション株式会社(電気機器製造)

2代目である八幡滋行CEOが、資産管理会社と合わせて株式の約3割を握っている。 創業家のパッションやスピリットは残したいからこそ、所有と経営の分離や、監督と執行の分離を明確にする必要があると考え、取締役会の10人中8人が社外というトップの暴走を制御できる仕組みを作った(新体制)。
こうした厳しい監視下にあるからこそ、執行に関しては采配をふるうことができ、M&Aでは不可欠な迅速な経営判断が可能となっている。

株式会社ニッセンホールディングス(通信販売)

創業者から会社を託された片山社長は、経営危機に瀕した際、会社永続のためには株を買ってもらわなければならない。そのためには社外取締役といった抑止力を設けることで信頼を担保する必要があると考え、ガバナンス改革を実行。
コーポレートガバナンス委員会を設置し、社内取締役を6→3人に、社外取締役を2→4人にした。
経営の透明性や客観性が高まったことで、現販事業における催事販売からの撤退や、長期の為替予約の解約といった痛みを伴う経営改革を実行することができた。