ビジネスツールとしてのTwitter(ツイッター)

 おしゃべりの道具として広まったツイッターですが、もはや単なる流行ではなく、大企業のマーケティングや危機管理に活用されるツールとなりつつあります。

 今回は、日経ビジネス2010.2.22号(日経BP社)から、ツイッターをビジネスツールとして一足先に一般化しつつある米国企業の活用法をご紹介します。


■ デル

 リース明けの旧モデルや返品といったアウトレット品を、ツイッターで通販。

 これらは旧モデルのため宣伝費はかけられず、また、在庫の予測もできないため思うように売れない。そこでコストゼロのPR手法としてツイッターに着眼。  フォロワーだけに特別なセール情報をつぶやく手法を確立し、2年間で200万ド ル以上売り上げた。

 さらに、こうした売上アップのツールとしてだけではなく、売り上げを阻む要素を早期に発見するための警戒システムとしても活用。

 ブログやSNSを含む「ソーシャルメディア」専門チームは、デル製品やサービ スに関するつぶやきを監視し、顧客の本音を探っている。ときには会話に参加してアンケートを取ったり、不満を持つ顧客のつぶやきに対応したりしている。

■ コムキャスト

 ツイッターで顧客のつぶやきに対応し、顧客満足度を前の四半期に比べ9%向上させた。

 同社は米国ケーブルテレビ会社のなかで、顧客満足度が最も低かった。そこで顧客サポート部門の中級幹部がアカウントを開設し、一人ひとりのつぶやきに返信し、必要があれば電話をかけ、さらに必要があれば出張サポートの指示を出し続けた。こうした親身な対応がクレーマーをファンに変えた。

■ フォード

 ツイッターを利用してソーシャルメディア上で広がったフォードへの批判を
 迅速に沈静化した。

 フォード車のファンサイトの管理者が、サイト上でフォード車の偽造部品の販売を行っていたため、法務部門が警告文を送った。これを受けた管理者がファンサイトに抗議文を掲載したため瞬く間に炎上。ブログ、SNS、ツイッターと延焼は広がり、フォードは一夜にしてファンをないがしろにする企業との悪名を轟かせることに。

 これを察知したソーシャルメディア部門のマネージャーは、ツイッター上で憤るユーザー一人ひとりに事態の把握と収拾に向けて交渉中であることを伝え、他のユーザーにもリツイートするよう発信し続けた。問題解決後にはツイッター上で偽造部品販売の事実と、サイト管理者が販売中止を約束したことを受けて警告を取り下げたことを宣言。出火から鎮火まで要した時間は24時間以内であった。