失敗を乗り越えられる社員を育てるには

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 仕事をしていれば失敗することがあります。でも、失敗をした社員がそれを乗り越えて成長してくれたら、会社にとってもプラスになりますね。
 今回は、「日経トップリーダー 第304号」より、3人の指導者の’敗北を乗り越える指導法’をご紹介します。


■ 豊田秦光氏(野球評論家)

 勝負の世界では、失敗したのに偶然に救われるということが山ほどある。

 それを知らずにうぬぼれている人がつまずくといつまでも立ち直れない。ちゃんと反省している人、仲間を思う人は強くなっていく。だから、監督やコーチは誰かに救われた選手がいたら、そのことを教えてあげなければいけない。

 また、失敗した人をなぐさめても上達しない。自己満足な戦い方ではなかったか、勝つためにはどうすればよかったかをちゃんと考えさせなければいけない。

■ 原田隆氏(原田教育研究所)

  失敗した人に対して、指導者が最初にやるべきことは「本当はどうしたかったのか」を聞くこと。

 そして次にやることは分析。「心」=メンタル、「技」=スキル・ノウハウ、「体」=体力・体調、「生活」=プライベートの4つを分析し、「本当はどうしたかったのか」と結び付けてプラス面を見つけさせる。失敗したときでもどこかにプラス面はある。何より大事なのは理想と現実のギャップに気付かせて、それを埋める方法を考えさせ、アクションに変えること。失敗の中にあるプラス面を伸ばす一方、マイナスを繰り返さない仕組みを作る。そしてこれを文字にして明確に残しておく。

 失敗した人をしからなければならない場合は、失敗に向き合う態度が悪いとき。 態度が悪いとは(1)失敗を直視しない(2)人のせいにする(3)やるべきことを後回しにする(4)忘れようとすること。こういう人は必ず同じ失敗をするからだ。

■ 山下康裕氏(東海大学体育部長)

  大事なのは「負けた試合より勝った試合から学ぶ」こと。どこが良かったのかを見つけて、そこをどういう場面でも出せるように習慣づけていけば欠点は自然と消えていく。だから、指導者にとって大事なことはその人の持ち味を考えてあげること。

 そして、自分自身を磨いていくには自ら厳しい目標を設定し、大きな課題にチャレンジしていくことが必要。指導者はそのことに気付かせ、支えていかなければいけない。

 また、誰かが失敗したとき、指導者も自らを省みなければならない。自分の指示が明確だったか、機会を与えて判断力を鍛えてきたか。そうすることに指導者としての成長がある。