増加する胸郭出口症候群

 『胸郭出口症候群』という病名をご存知でしょうか。腕を肩より高く上げた時、手に痺れを感じる、普段も肩や腕のだるさや痛みを感じるという場合、疑われる病気の1つが『胸郭出口症候群』です。この病気に罹患する人は大変多く、胸郭出口部が狭くなりそこを通る神経や血管が筋肉や骨に圧迫されることで発症します。

 長時間パソコンの前で作業をするという方、営業職などで毎日重い荷物を持って歩くという方は要注意との事。パソコンを使う際、画面をのぞき込むように首を前に突き出し、背中を丸めた姿勢を長時間続けることや、重い荷物で首や肩の筋肉が伸ばされることで胸郭出口部の神経や血管が圧迫を受けるのがその理由です。さらに肥満によってお腹が突き出て腰が反り返り、あごが前に出るという姿勢の悪さで胸郭出口部が狭くなり症状がより悪化します。

 症状を和らげるには悪い姿勢を改めることが肝要です。デスクワークでは背筋を伸ばし、首を胸よりも前に突き出さないように注意したいものです。また、肥満があれば減量すべきです。首、肩、胸のストレッチを習慣付け、鎖骨を支える筋肉を鍛えることも有効となります。デスクワークが多く姿勢が悪くなりがちなビジネスマンは、この病気を少し意識してみては如何でしょう?

 

(日経ビジネス2009.9.14号「心と体 診察室」より)