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「派遣切り」の問題がクローズアップされた記憶も新しいところです。くしくも企業の労働力の多くを派遣に頼っているという構造が明らかになりました。企業の経営状況に応じて容易に労働力の調整が可能となるため、派遣を利用することは知られています。それとは別に、「人を育てる」という’めんどくさい’ことから逃れるために労働力の外注化を進めてきたという側面があるという記事を読み、納得する部分が多かったため、ご紹介したいと思います。記事は『日経ビジネス 2009.8.31号 有訓無訓』からの引用となります。
日本経済が飛躍的に成長した高度経済成長期後の1975年から1983年頃にかけ、それまでの成長と時代の変化で、日本の消費者の「贅沢」への願望がほぼ満たされた。そして、資本主義の成長を支える欲望の変質が始まった。 日本企業は「贅沢の提供」から「めんどくさいこと」の代行業へシフトする。
5億円あれば「贅沢」と感じることをほぼやり尽くせる。これに対し面倒と感じることに限界はない。そこで登場したのが、コンビニエンスストア、ファミリーレストラン、宅配便。特にネットはその代表。
書籍を読むのも、雑誌を読むのも、旅行に行くのも、字幕を読むのも、さらに女の子とつき合うのも「めんどくさい」。そんな人々が若者を中心にどんどん増えている。そして、それを補うところにニーズを見出すビジネスが成長した。その結果、「めんどくさい」ことを嫌う人々がいないと、経済が成り立たない状況になっている。
社会が人々の「めんどくさい」という価値観に依存しているなら、子どもたちは「めんどくさい」の気持ちを持ち続けていないと経済社会は成立せず、お父さんの仕事が続かないという連鎖。 本当に生き残るには、今まで世の中にないモノを作ろう、サービスを生み出そうという死ぬほど「めんどくさい」ことが欠かせない。行き詰まってきた「めんどくさい」つぶしの勝ちパターンをがらっと変えてみることが、成長のためにも、日本のためにも必要では。