戦略がなくても勝てた時代

 昨年12月1日号の続編です。戦略思考1分間トレーニング~賢く勝つためのアタマの使い方’(ソフトバンククリエイティブ㈱発行、西村克己著)から、戦略的に考えて行動するために必要な、考えるための知恵を養うためのトレーニングをお試しください。


Question

 丹羽物産は60年間続いている商社です。フットワークの良さと粘りの営業でここまでやってきました。しかしここ10年間は鳴かず飛ばずで、売り上げはジリ貧です。粘りと根性で今までやってきたのですが。
 では、丹羽物産には何が足りないのでしょうか?

(1) 粘りと根性がある若手社員が育っていない
(2) 銀行から資金が借りられないので投資ができない
(3) 丹羽物産には経営戦略がない
(4) 丹羽物産には営業戦略がない

Answer

 経済全体が高度成長を続けている時代においては、戦略がなくてもそこそこ勝つことができました。しかし経済の低迷や競争激化の環境下では、戦略がなければ生き残れない時代です。勝ち組と負け組の明暗が顕在化しています。
 (1)の粘りと根性は、あった方がいいですが、それだけでは勝てません。(2)の融資資金の不足は、そもそも利益が出ていれば融資が受けられます。(3)の経営戦略がない、(4)の営業戦略がないことは、現在の競争社会においては問題でしょう。正答例は(3)(4)です。

変えるべきか、現状維持すべきか?

Question

  田村電機の直近5年間の経営計画を振り返ったところ、毎年同じような経営計画であることがわかりました。「対前年比で5%の成長率堅持」という経営方針を立て、売上・利益計画目標を各事業部に割り当てているのです。
 競合他社では、直近5年間に中国工場建設、アジア諸国への製品販売を推進してきました。しかし田村電機は、「対前年比の売上目標」しかないので、海外には進出していません。
 さて、田村電機はどうするべきでしょうか?

(1) 今まで通りのやり方をすればリスクがない
(2) 競合他社の真似をする必要はない
(3) 思いきって海外進出を検討すべきである
(4) 何かを変えていく努力は必要だ

Answer

現状維持自体がリスクになる時代です。現状維持をしている間に、国内外の競合は進化を続けていくからです。変化しないことのリスクが高まっています。

 (1)の今まで通りのやり方をしてもリスクは高くなります。(2)の競合他社の真似は必要ないですが、業界のトレンドを把握するには有効でしょう。(3)の海外進出を検討するのは、選択肢の1つかもしれません。(4)の何かを変えていく努力は常に必要です。正答例は(3)(4)です(世の中のトレンドを見極めていれば(2)も可)。