どんな時代でも会社を成長させる ワタベ流「勉強経営」

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 サブプライムローン問題に端を発した世界同時不況、金融危機、雇用不安・・・erc.と、不安材料を抱えての年明けとなりました。ところが、このような状況にあっても、増収増益を続けている会社があります。その一つ、ワタベウェディングの会長渡部隆夫氏は’コツコツ学べば5年先が見えてくる’と言う「勉強経営」を推奨しています。  今回は『日経ベンチャー2009年1月号』(日経BP社)の特集記事、渡部隆夫氏の「どんな時代でも成長を実現する勝利の方程式」をご紹介します。


どんな時代でも成長を実現する『勝利の方程式』

  • 変化を追うのではなく、変化を起こし、「一人勝ち」に持ち込む。 そのために、「大勢のお客の声」より「一人のお客の声」に注目する。渡部会長は独自の実践的勉強法によって、先手必勝の経営を続けている。
“一人勝ち”の方程式

1.「変わったお客」に注目する
2.「流れ」を確かめる
3.「数字」で仮説を立てる
4.「実験」して検証する
   ↓↓
5.「一人勝ち」に持ち込む

 

5年先を読む「4つの勉強法」

「変わったお客」の見つけ方
  ic_bb 本音で話せるから社員が面白い話を次々と教えてくれる

「流れ」の確かめ方
  ic_bb 出張中の空き時間も無駄にしないから時代の空気が読める

「仮説」の立て方
  ic_bb 数字を暗記するから新しい仮説をサクッと考えられる

「実験」による検証法
  ic_bb リアルな動きを現場確認するから自信を持って事業化

 

普通の人も名経営者に近づけますか?

  • 渡部会長が師と仰ぐのは、稲盛和夫京セラ名誉会長。
    勤勉と質素倹約を旨とし稲盛氏に叱られながら成長してきた。

Q1. 毎晩のように飲み歩いていたのをやめたのはなぜですか?
A1. 30代半ば、毎晩飲み歩いていた。売上が伸び悩み、社員の信頼も得られなかった。
そこで早起きを習慣化し規則正しい生活に改めた。乱れた生活では経営者は務まらない。

Q2. 稲盛さんに初めて叱られたのは?
A2. JC(青年会議所)の勉強会で。「こんな時間(午後6時)に経営者がこんなところにいるとはどういうことか。会社に帰って経営の仕事をしてこい」

Q3. 稲盛さんに最近叱られたのはいつ、どんなことで?
A3. 昨年のGW。息子に経営をバトンタッチし、自分はどのポジションで残ろうかと相談した。答えは、「100%完全に退きなさい」

Q4. 20年間、自家用車を買い換えないのはなぜ?
A4. 私生活は質素倹約を心がける。一つ贅沢を許すと際限がなくなる。 
社員に経費の無駄遣いを戒めている手前、自分の生活が派手では示しがつかないという気持ちもある。

Q5. 10年日記をつけているのはなぜ?
A5. 今日の日記をつける際、昨年の同じ日の記録が目に入る。それで大事な情報を、脳に再入力できる。

Q6. いくらまでなら社員にポケットマネーでおごりますか?
A6. 自分が出席する場合はすべてポケットマネーで払う。普段会社の経費を最小限にすることを社員に厳命しているので、会社の経費にはしない。

Q7. 事業が成功して他人がバカにみえることはないですか?
A7. 成功して天狗になると経営者はすぐだめになる。自分も若い頃そうだったかも知れないが、バカにしたことは一度もない。他の経営者より自分が優れているとも思わない。

Q8. 1年365日休まずに働くなんて嫌になりませんか?
A8. 全然苦ではない。それを何十年も続けているので疲れもストレスも感じない。それは仕事が楽しいから。「楽しい」と思うようにすると本当に楽しくなる。
小さな目標をたくさん立てると、未達成のストレスを感じるので目標は長期的な大きな目標で。

Q9. たてつく幹部社員を大事にするのはなぜ?
A9. 社員が社長に意見するのは会社のためを思ってのことなので感謝すべき。経営者として経験を積めば万能の神になれるなどということはない。社員から出てくる、いろいろな意見をすり合わせながら何が正しいかを選択するのが自分の仕事。

Q10. 本から勉強することも多いのか?
A10. 乱読していろいろな考えを取り込むと頭が混乱してしまいそうなので、雑誌を除けば月1冊程度。気に入った著者や自分が知りたいことに関連する本をじっくり読む。