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トップトピックス>心理学から見た企業の責任懸念

心理学から見た企業の責任概念 2004/08/01
  CSR(Corporate Social Responsibility・・・企業の社会的責任)が、企業を評価する上での重要な基準として注目されています。
企業が取り組むべき三つの要素として、企業活動の(1)環境的側面(2)社会的側面(3)経済的側面を重視するという責任概念です。

バブル景気に沸いていた時期、カネ儲け至上主義の風潮の中で、「儲ける会社=良い会社」の方程式が成立していましたが、「失われた10年」を経て日本企業の評価軸は変化し、「21世紀の良い会社」の条件としてコ−ポレ−トガバナンス(企業統治)と経営の透明性は外せない要素となっています。かつて高収益や高成長を誇った企業が、法令違反や反倫理的な行動で世論の総スカンを食らって転落していく。日本ハム、雪印乳業、三菱自動車などの例は記憶にも新しいところです。

尊敬される会社

日経BP社が作成した「外部の評価、財務の健全性、これにCSRの視点を取り入れた企業総合ランキング」のデ−タを見ると、

1位

キャノン
2位 トヨタ自動車
3位 花王

の名前が上位に挙がっていますが、いずれの企業も顧客、投資家、従業員など多様な関係者に支持されている状況を示しています。支持者が多いほど経営リスクは小さくなり、さらに評価は上がりますが、上位の企業はこの面で抜群のバランスと保っていると言えそうです。




尊敬できない会社

逆に、機関投資家・消費者それぞれが選んだ「尊敬できない会社 ワ−スト3」は、見事に一致しました。

1位

三菱自動車
2位 武富士
3位 UFJホ−ルディングス


共通しているのは、「隠す、ごまかす」の隠蔽体質。以前総会屋への利益供与事件で反省したはずなのに、またもや欠陥隠しでコンプライアンスや倫理の意識が抜け落ちていることを露呈してしまったのは三菱自動車。会長自ら盗聴事件を起こして会社の私物化を非難された武富士。金融庁の検査の際、資料を隠して行政処分を受け信頼を失ったUFJホ−ルディングス。どんな企業でも不祥事が起こる可能性を抱えているのは事実ですが、一旦起きた不祥事にどう対応するかで企業に対する信頼が大きく違ってきます。そして一度失った信頼を取り戻すのは容易なことではありません。




人をだます「カチッ・サ−現象」

ところで、心理学に「カチッ・サ−現象」という言葉があります。人間はもともとプログラムされたテ−プを持っていて、ある一定の条件でスイッチを入れるとそれが回り始める。つまり、カチッとスイッチを入れるとサ−っとテ−プが回り始めるという仕組みです。これらのテ−プは本来私たちに利益をもたらしてくれる筈なのですが、何かの拍子に間違った状況でスイッチが押されてしまい、本来回るはずのないテ−プが回ってしまう現象を言います。例えば、売れ残りの商品にわざと高い値札を付けると「高いのだからよい商品だ」とカチッ・サ−の現象が起き、商品が売れてしまうというというような場合です。




企業の「カチッ・サ−現象」

アメリカの航空会社でフライト・シミュレ−ションを利用したある実験が行われています。悪天候のため視界がきかないという条件下でのフライト中、故意に機長が事故につながるような指示を出した場合、実に全フライトの25%で墜落事故が起こるという結果が出ています。
 なぜこのような結果が起こるか?それは、機長というスペシャリストの指示に疑いを持った乗員がいなかったせいなのです。機長が犯した明らかなミスを、他の乗員が正そうとしなかったために起こる墜落事故を、「機長症候群」と言います。飛行機を利用する人にとって背筋が寒くなるような話です。
 なぜ、このようなとんでもないことが起きるのでしょう。特に次のような条件下で「機長症候群」が起こりやすいと言われています。

1 問題が複雑すぎる
2 時間がない
3 やらなくてはならないことが多すぎる
4 感情的になっている
5 心理的な疲労感が強い

こうした状況のとき人は「カチッ・サ−現象」の反応をしやすくなる。つまり、専門家や経験豊富なベテラン上司の言いなりになりやすくなるということです。これを防ぐには、有能な部下に「考えるゆとりを与える」ことが必要だということが言えるでしょう。
 
不名誉にも「尊敬できない会社」として挙げられた会社には、部下が自由に意見を言い、
また上司が素直にそれを受け止めるという仕組みがなかったとも言われています。「カチッ・サ−現象」により上司の決定が内容の是非に関わらず'正しいこと'として実行されるのです。
組織を出来るだけ風通しよく保ち、情報や発言がスム−ズに流れ、万一不都合が起こってもそれをきちんと情報開示できる企業運営が消費者や投資家の信頼を生み出すと言えるでしょう。

   
参考文献「日経ビジネス2004.7.26号」 
「ウソつきの心理学:渋谷昌三



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