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大卒新入社員の30%が、入社3年以内に退職してしまうというデータがあります。
来春大学を卒業する私の娘も今年は就職活動の年でしたが、膨大な数の企業から、膨大な量のデータを集め、会社説明会だ面接だと駆けずり回る姿は、ちょっと可愛そうでもありました。学生も自分の将来を託す企業選びに必死ですが、企業側も将来を託すことが出来る優秀な人材の採用に必死です。
ただ、短期間で退職をしてしまうという現実を考えると、採用ミスマッチが起こっているのは事実のようです。今回は、『日経ベンチャー 2006年7月号(日経BP社)』の”勝ち組に学ぶ「人材採用」”から、「突き抜けた」選抜手法の採用によって「欲しい人材」を見抜くことを実践する企業の実例を紹介します。
■ 本社/東京都目黒区
■ 売上高/約8億円(2006年2月期)
■ 設立/2004年
■ 従業員/約70人
■ チャレンジ精神旺盛な人が欲しい ⇒ 富士山頂で青空面接
当初は高層ビルの会議室を借りて会社説明会を開き、集まった志願者を筆記試験でふるいに掛け、面接で内定者を決定すると言うオーソドックスなパターンを実施していたが、それでは「欲しい人材」は来なかった。 そこで、「どのような人が欲しいかのを明確にし、その人たちにピンポイントで訴えかける」との発想でたどり着いた’求める人材’は『既存の価値観にとらわれることなく、新しいことに挑戦できる人』 こうして誕生した「富士山頂での面接」の成果は予想以上に大きく、以後’求める人材’を採用することが出来るようになった。
神田大治社長『採用もビジネスの一部。本業は真剣に取り組むのに、採用だけ「通り一遍」でやる方が間違ってたんです』
■ 本社/埼玉県富士見市
■ 売上高/18億円(2005年8月期)
■ 設立/1974年
■ 従業員/66人
■ 追い込まれてから強い人が欲しい ⇒ 特訓合宿での涙の選抜
求めているのは、『逆境の中で行動力を発揮できる人材』なぜなら、さらなる改革を実践しなければならない時期にあって、『パートナーとなる若手幹部が、困難を前にして尻込みするようでは困る』から。
合宿型面接のタイムスケジュールは次の通り
(1) | 役員面接を突破した10人が対象。一泊二日の合宿による最終選抜で3~4人が内定 | |
(2) | 前半はエンターテイメント性の高い研修で、先ずは学生同士の「共通点探し」そして、1000円を握り締めての「採用担当の女性社員への感動プレゼント選び」 | |
(3) | 後半は、打って変わって厳しい「名刺交換」。’大手会社の人事部長に奇跡的に会えたと仮定しての感激の表現’がその内容。 |
10度以上不合格となりながら、1~2時間が経過するうち涙交じりに大声を張り上げて、やっと合格者出る。
渡邉殻人社長『合宿選抜を採用してから、優秀な新人が入社した。さらに、内定者と社員たちとの間に一体感が生まれた結果、例年は数人はいた内定辞退者がゼロになった』
■ 本社/東京都港区
■ 売上高/89億3500万円(2005年6月期)
■ 設立/1996年
■ 従業員/574人
■ 突破力のある人が欲しい ⇒ 1カ月掛かりで難問を解かせる
年間、数億円のカネと数十人のスタッフを採用に投じ、1回の採用に1カ月の期間を掛けて、内定すべき人を見極めている。手順は次の通り。
(1) | 一次試験は論理力テストと面接。通過するのは、約1000人/約10000人 | |
(2) | 二次試験は、1万円の日給を払って、1カ月のインターンシッププログラムに参加させる。実態は、研修生を会場に「監禁」し、無理難題を次々と課す「超難問プログラム」 |
欲しいのは、’知識をいったん消化して、そこから新しい結論をひねり出そうとする点’このような人材は、前例を重んじる大企業では問題児扱いされがちな点に着目し、「転職希望者」をターゲットに新たな採用手法を取り入れたが、その後対象を学生として上記のプログラムとした。
牧野正幸社長『最初の段階できちんとふるいに掛けておいた方がかえって’効率的’闇雲に採用して、辞めたらまた採用する、というやり方ではかえってカネも労力もかかる。採用方法の成功は、目的を揺るがせなかったことにある』
■ 本社/神奈川県川崎市
■ 売上高/8億5000万円(2005年6月期)
■ 設立/1976年
■ 従業員/60人
■ 自社とノリが合う人が欲しい ⇒ 社長秘書をさせて選抜!
数度の面接を経て、最後「一日社長秘書」を務めてもらって、最終判断する。 社長が応募者をそばにおいて見ているのは (1) うちの会社に自然に溶け込めるかどうか。わざとぶっきらぼうに振る舞う素顔の社長に違和感を持っていないかチェック。 (2) 価値観が合うかどうか、半日も一緒にいればわかる。例えば、食事を平気で残す人は基本的に不採用。食べ物を粗末にする人は、原料や資材も大切にしないのではないかという不安から。 (3) 学生の仕事ぶりも見るが、合否の判断基準というより、採用してからの適正を見るため。
中澤雅孝社長『新卒採用に踏み切った初年、8人の内定者をだしたものの辞退者続出で、入社したのは3人のみ。さらに2人は入社後間もなく辞めてしまった。そこで、内定を出す前に会社と学生の相性を確認することの重要性に気づいた』