住宅ローン残高を減らすには?

 人生において必要な三大資金は「住宅資金」「教育資金」「老後資金」だと言われています。住宅ローンを負い、月々の返済に追われる方も多いと思いますが、当初の返済条件のままで必要以上の利息を支払うことになってしまうケースや、安易な借り換えで結果的に多くの負担が生じるケースが生じています。今回は、住宅ローン残高を減らすためのポイントをご紹介いたします。


1.住宅ローン残高減額のポイント三か条

高金利時代のローンは早期に借り換えを
返済期間短縮型が利息軽減効果は大
無理な期間短縮には注意

2.高金利時代のローンの借り換え

  • 住宅ローンは金利情勢に応じて見直し、利息負担を軽減することが不可欠
  • 改めて別のローンを組み、借りた金で残っているローンを一括返済
  • 手許に余裕資金がなくても可能なのが特徴
  • 住宅金融公庫などの公的機関は借り換え先に使えないので、選択肢は二つ
     公的ローン 民間ローン   民間ローン民間ローン
  • 借り換え時には保証料、事務手数料、印紙代、登記費用が新たに発生するのでこれらの負担を考慮しても得になるだけの金利差が必要
  • 変動金利や期間の短い固定金利選択型などの借り入れは、より長期の固定金利タイプへの借り換えを検討

3.繰り上げ返済

  • 手元資金を使ってまとまった額を返済することで、毎月の返済額は変えずに残りの返済期間を縮める「期間短縮型」と、反対に残りの返済期間は変えずに毎月返済額を減らす「返済額軽減型」
  • 無理に繰り上げ返済して期間を短縮しすぎると将来借り換えがしにくくなる場合があるので注意が必要
  • 通常、繰り上げ返済にも手数料が必要。大手銀行の場合、一回四千円~五万円。

4.具体例を使った住宅ローン借り換えのシミュレーション

 a 有利な住宅ローンに借り換えれば、利息負担をこれだけ軽減できる

2000年、住宅金融公庫から2000万円を期間35年、金利当初2.8%・11年目以降4%、元利金等返済の条件で借りた

5年後の2005年、ローン残高は1819万円になった。そして・・・

残りの
返済期間
金利水準
毎月返済額
(当初)
今後支払う総利息額
(カッコ内はaに比べた実質的な軽減額)
 そのまま返済し続けた
30年
当初2.8%、6年目以降4%
7万4800円
1158万円
b 民間金融機関に借り換えた。但し、残りの返済期間はそのまま
同上
当初2.55%、11年目以降3.05%
7万2400円
859万円
(229万円)
c 民間金融機関に借り換えた。但し、毎月返済額は減らさず、残りの返済期間を短縮した。
28年
同上
7万5800円
797万円
(291万円)

(注)保証料や登録免許税など借り換えに伴う費用は70万円と仮定。毎月返済額などの数値は概算

 b 繰り上げ返済の仕組み

 (元利均等返済のケース)

 toppix_0504_1

c 繰り上げ返済で軽減できる利息額は、時期やタイプによって大きく異なる

  (100万円を繰り上げ返済したケース)

 toppix_0504_2
 (注)当初2000万円を期間35年、金利年2.8%・11年目以降4%、元利均等返済との条件で借りたとする

 

(参考記事:2005年3月27日 日本経済新聞)