「民泊」の注意点

 米国のAirbnbが日本でサービスを始めたことをきっかけに、『民泊』が広がりを見せています。4年後に開催される東京オリンピックを機に訪日する外国人旅行者の利用が見込まれることから、今後さらに参入者の拡大が予想されます。

 自宅の空き部屋などを利用する小規模な事業であることから気軽な感覚で始める方も多いのですが、いくつかの問題も抱えています。

一つは、旅行業法に抵触するとの批判です。既存の旅館業界の保護目的もありますが、テロ犯罪者の拠点になることを恐れるという意見ももっともです。運用に関しては関連する厚生労働省と国土交通省で協議を進めており、旅館業法の枠組みで許可を出す方式を採用しようとしています。この扱いに対し政府の規制改革会議は反対の立場で、旅館業法の適用から外して届出制などの緩やかな監視に留めることが望ましいとしています。

一方、旅館業法の適用を外す特例で民泊を認める制度を利用して活用を図ろうとする自治体もあり、全体の調整には少し時間がかかりそうです。

二つ目は税務上の扱いです。一定金額以上の所得を得た場合に申告が必要であることは勿論ですが、民泊に使った部屋が住宅ローン控除の対象になっていないかという注意も必要です。住宅ローンの対象とするには、「個人が、原則自らの居住用として利用すること」という要件があるからです。こちらにも慎重な検討が必要ということになります。